金曜日の読書は今週から阮籍の「詠懐詩」と文章を訳した”Collected Poems and Essays of Ruan Ji – translation by Atticus Lin, Neotao Studio, Kindle 版”を読もうと思います。阮籍(AD210-263)は三国志の時代の魏(AD220-265)の人です。魏は曹操とその子が蜀・呉を滅ぼしたあと、司馬懿(「死せる孔明、活ける仲達を走らす」の仲達)の子孫に乗っ取られて滅亡します(魏→晋)。その際、曹操の子孫と司馬仲達の子孫の熾烈な争いに巻き込まれないようにするために官職から離れて過ごしたグループが「竹林の七賢」です。そのリーダー格の阮籍は、官職から逃れるためいつも飲酒していましたが、詩文と人物は認められていたようです。気に入らない人が来訪すると白目でにらんだという故事から「白眼視」の語源になった人です。さらに調べると82編の詩集「詠懐詩」で五言の形式を確立した人物とされています。なにぶん古い詩なのと、罪に問われないように比喩が多用されているので難解で、現代中国でも注釈や現代訳がいくつも出版されています。
一番有名な詩は多分下記です。横書きなので書きにくいですが、左から右に書きます。
夜中不能寝 起坐弾鳴琴 薄帷鑑名月 清風吹我襟
孤鴻号外野 翔鳥鳴北林 徘徊将何見 憂思独傷心
英訳は下記のようになっています。
In the middle of the night, I cannot sleep, I rise to sit and play my zither. Through the thin curtain, the bright moon shines, A clear breeze blows against my robe. A lonely swan cries in the outer fields, A soaring bird calls from the northern woods. I pace back and forth, but what can I see? My heart aches in solitude and sorrow.
上手く訳していると思います。
zither ズィザー 「チター」短い琴のような楽器です。http://www.zither.org/zither.html
soaring 飛翔する、舞い上がる、急上昇する
solitude 孤独
sorrow 悲しみ
夜中に一人ドライブ(馬車でしょうか?)する習慣があり、袋小路に来ると慟哭して帰ったという話が書いてありました(阮籍伝:吉川幸次郎(岩波文庫))。