トランズモンの実装

超伝導量子ビット「トランズモン」は、超伝導体のコイルとコンデンサがループ状につながったもの、昔の名前で「タンク共振回路」です。いまはLC共振回路というそうです。昔の名前は、液体の入れ物(tank)にホースをつないだものからの連想で、その方が味があると思うのですが・・・。
https://ja.wikipedia.org/wiki/LC%E5%9B%9E%E8%B7%AF
googleの量子コンピュータのqubitの共振周波数は5GHz程度だそうです。超伝導は抵抗ゼロで電流を運べるので、一度励振すると損失無く振動するはずですが、いろいろな損失があり、振動は100μs程度で減衰するそうです(縦緩和時間T1)。100×10^-6*5×10^9=500000回の振動ができるので、90度パルスが10回の振動ならば50000回の相互作用ができるので、計算はできそうですね。このT1をいかに延ばすかが最大の技術課題です。現段階では損失はコンデンサの誘電体の損失(tanδ)だそうです。誘電率の大きなTa2O5やNb2O5を誘電体に使って小型化と低電圧化(同じ電荷量で)を図っているそうです。電圧が高いと損失が大きいとのことです。また、量子ビット同士を配線しなければならないのですが(量子ビット数を増やすと配線が爆発的に多くなる)、電波として漏れてしまうと損失になるので配線に工夫が必要で、3次元化が課題だそうです。また、雑音が入らないように各量子ビットは超伝導体でシールドする必要があるそうです。実装技術としてなかなか難易度が高いです。
タンク共振回路の基本振動と第二高調波(2倍の周波数の振動)を使うならば、超伝導なしにアナログ回路の「逓倍」でできないかな?と元ラジオ少年は考えました。逓倍の仕組みは非線形素子による増幅(sinωt)^2=(cos2ωt-1)/2 (倍角の公式)でωt→2ωtを出します。その際、基本振動と二倍周波数の振動の位相関係が固定されてしまうのでうまくいかないと思います。うまく解決する回路ができたら、もしかしたら画期的です。今後半導体教育で電子工学のダイジェスト版を教える可能性があるので、この話をすると面白がってもらえないかな(例によって誰もわかってくれない?)と夢想しています。

英語は https://en.wikipedia.org/wiki/LC_circuit

“An LC circuit, also called a resonant circuit, tank circuit, or tuned circuit, is an electric circuit consisting of an inductor, represented by the letter L, and a capacitor, represented by the letter C, connected together. The circuit can act as an electrical resonator, an electrical analogue of a tuning fork, storing energy oscillating at the circuit’s resonant frequency.”
circuit 「サ」ーキット 回路
resonant 共鳴する
inductor インダクタ(コイルのこと)
capacitor コンデンサ
a tuning fork 音叉(おんさ)
“Due to Faraday’s law, the EMF which drives the current is caused by a decrease in the magnetic field, thus the energy required to charge the capacitor is extracted from the magnetic field. When the magnetic field is completely dissipated the current will stop and the charge will again be stored in the capacitor, with the opposite polarity as before. ”
Faraday’s law 電磁誘導のファラデーの法則
dissipated 散逸した
with the opposite polarity as before 前と反対の極性で

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