金曜日の読書 ”The Consciousness Instinct:…”は今週は第4章です。第二部に入り、脳のハードウェアとソフトウェアの関係を見ていくようです。第4章では、医学からの蓄積(脳の一部を損傷した患者の分析)、コンピュータ科学からの知見、動物の脳との比較などを経て、意識とは何か、について軽く触れます。まず、脳の一部を損傷した患者に起こる様々な症状が説明されます。例としては幻肢(存在しない体の一部があるように感じる)、存在しない第三者の気配を濃厚に感じる、恐れの感情がなくなり危険なことをする(偏桃体の損傷)、言語障害(意味から単語をつくるBroca野と発音を司るWernike野の2つ)などがあります。このことから脳はモジュール(一定の機能を持つ部品)の組み合わせてできていることが推測されます。なぜモジュールでできているかについては、通信経路の長さを減らすためとの説がコンピュータシミュレーションから提唱されており、コカ・コーラの工場が消費地の近くに作られていることと似ていると解説されます。脳の体積の60%が通信線とのことで、これは最適値だそうです。動物の脳との比較では、カラス(自動車に轢かせてクルミを割る仙台のカラスが取り上げられています)やチンパンジーは賢いが、目的に沿った行動しかしないのに対し、彼らと情報処理能力レベルが近い人間の幼児は、純粋に学ぶために人真似をするという違いがあるそうです。また、動物も他の動物が感情や意図といった意識を持つことを類推できるという説が解説されます。ハードウェアの違いがどこにあるかというと、前頭前野(prefrontal cortex)がヒトのほうがずっと大きいそうです。この章の結論としては、意識は単一の「意識モジュール」の働きではなく、一瞬一瞬の経験を司る各モジュールの「競争」の結果生じるものではないか、ということで、工学的な譬えと断って、階層的設計で、低次機能から高次機能が生じるようなものだ、と述べています。
“In contrast, infants will mimic behaviors regardless of whether there is a reward or punishment, suggesting that human infants have a propensity to learn new behaviors for the sake of learning alone.”
“After being weaned away from the idea of a single “conscious” module, we can begin to narrow in on what consciousness actually is. We know that local brain lesions can produce various specific cognitive disabilities. Yet such patients are still aware of the world around them.”
wean away from ~から切り離す、乳離れする
what consciousness actually is 意識とは実際のところ何なのか
lesion 「り」ージョン 損傷部位 a region in an organ or tissue which has suffered damage through injury or disease, such as a wound, ulcer, abscess, or tumor
wound ウ「ウ」ンド 傷
ulcer 「ア」るサー 潰瘍
abscess 「ア」ブセス 膿瘍、できもの
tumor 腫瘍
cognitive disabilities 認知障害