脳オルガノイド研究の倫理

IPS細胞技術が扉を開いた分野の一つとして、organoid(日本語ではオルガノイド、英語は「オ」ーガノイド)があります。これは、ヒトの普通の細胞をリセットすることで胚細胞をつくり、目的の臓器への分化を促す分子を投与しながら培養することで、小さい臓器をつくるものです。
https://ruo.mbl.co.jp/organoid/overview/
病気の原因の解明や新薬の効き方を見る実験などをヒトの臓器の生きた組織を使ってできるので非常に有効です。問題は、脳のオルガノイドを作る場合の倫理をどうするか、です。私の倫理観では、脳のオルガノイドはかなり「たましい」を持っている気がするので、あまりいじめないでほしいです。脳オルガノイドをコンピュータにつないでテレビゲームを学習させると学習が速かったという論文が出ていますが、趣味が悪いと思います。
https://www.bbc.com/news/science-environment-63195653
https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(22)00806-6
脳自体は痛みは感じないですが、薬の実験等で苦痛を味わうことはあると思います。倫理のガイドラインはまだ確立していないようで、世界各国で実験が先行しています。現在のオルガノイド技術では血管を作れないので、大きな脳は作れません。論文などを見るとcmサイズのものです。血管の伸ばし方がわかって壊れた脳の修復のための移植ができるようになったら、オルガノイドの移植による脳の拡張を考えるようになるかもしれません。「アルジャーノンに花束を」のかわいそうな話が現実になる日が来るのか、と思うと少し憂鬱になります。入れ替えやコピーが容易な電子回路で拡張を考えるほうが悲劇になる確率が低い気がします。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%81%AB%E8%8A%B1%E6%9D%9F%E3%82%92

英語は https://en.wikipedia.org/wiki/Cerebral_organoid から
cerebral 脳の
”Stem cells have the potential to grow into many different types of tissues, and their fate is dependent on many factors.”
stem cell 幹細胞
tissues 組織 tissue paper ティッシュペーパー
fate フェイト 運命
”Historically, major breakthroughs in how the brain works have resulted from studying injury or disorder in human brain function. An in vitro human brain model permits the next wave in our understanding of the human nervous system. ”
major breakthrough 大きなブレークスルー
in vitro ガラスの中の→試験管などの生体外環境で
the human nervous system ヒトの神経系
”An embryoid body cultivated from pluripotent stem cells is used to make an organoid.”
embryoid < embryo 胚
cultivate 「カ」るティヴェイト 培養する
pluripotent stem cells プるリ「ポウ」テント 多能性幹細胞
ectoderm 「エ」クトダーム 外胚葉

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