年度末でちょっとバタバタしていて、「量子力学100周年」どの雑誌の特集を見ていたのか忘れてしまいました。とりあえず無料で読める高校教師向けのAmerican Journal of Physicsの下記を見ましょう。
https://pubs.aip.org/aapt/ajp/article/93/1/88/3327088/Quantum-information-science-and-technology-high
20時間の授業+5時間のグループ発表準備=25時間の課外活動で、以下を行うというプログラムの報告です。10-12年生というので、高校1~3年ということでしょうか。ニューヨーク市で、ニューヨーク大学と科学博物館を使って131人を2回やったそうです。
・偏光の実験やマッハツェンダー干渉計で微弱光を用いた実験をして波動性と粒子性を体験させる
・シュレディンガーの猫を教えてIBMの量子コンピュータで体験させる
・量子もつれやベルの不等式を教えて量子暗号にすすみ、大学の研究室を訪問する
超高校級でちょっとびっくりしました。量子コンピュータを早くから教えようとしているのは注目すべきです。次の大きな波が来ることを予想しているのでしょう。少し勉強していますが、プログラムを考えるのは面倒で、早くから鍛えるか才能がある若者を見つけだすのが重要なのかもしれません。教師向けに量子ゲートの教え方やブロッホ球の模型の作り方を示しています。
英語はこの記事から拾います。
”Quantum education outreach is a means to diversify access among traditionally marginalized students in science, technology, engineering, and mathematics (STEM). ”
STEM science, technology, engineering, mathematics (教育での用語)
quantum information 量子情報
traditionally marginalized students = students who have been historically disadvantaged or underserved in the educational system
歴史的にこれまで不利を被りちゃんと教育されていなかった生徒たち、という意味ですが、この内容を受け取れるのは、出来すぎて放っておかれて退屈している生徒ではないでしょうか。ちょっと皮肉を効かせてその意味でしょうか。
Schrodinger’s cat シュレディンガーの猫
Wigner’s friend ウィグナーの友人: 猫を人間の観測者(友人)にして、結果を聞くという行為でいつ量子力学的状態が収縮するのか、という問題提起です(1961年)。量子情報技術はこの拡張に位置づけられる部分もあります。wikipediaが詳しいです。SFで秘密結社の名前として使っているのがあるというのは面白いです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%8F%8B%E4%BA%BA
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