Why Nations Fail (9):第9章~第12章+チャーチル+ヨーゼフ2世

金曜日の読書 Why Nations Fail は飽きてきたのと、次に読みたい本が見つかったので飛ばしながら行きましょう。歴史を顧みると為政者が善人とは限らないという「性悪説」に立つほうがよく、何もしないでいると「寡頭制の鉄則」で発展しない停滞した制度に落ち込み維持される確率が高いです。そのために民主主義が「最も悪が少ない」制度として存在している、というのがチャーチル(W. Churchill)の警句でした。
さて、9章~12章です。9章はヨーロッパの植民地主義がもたらした貧困、10章はイギリス以外で発展した地域がどういうしくみで発展したのか、11章は民主制度がもたらす好循環を説明しています。12章は反対に収奪的制度が自らを安定する仕組みです。
9章はアフリカ、インドなど悲しい実例が多いので飛ばします。10章はオーストラリア(流刑者が労働力不足で社会の重要な要素となり権利を獲得)、イギリス以外の欧州(徴兵制による知識の伝達と参加意識の向上が鍵)、日本の明治維新(大久保利通の役割を強調)を紹介しています。11章はイギリスの民主主義が萌芽から発展した経過、米国でF.D.ルーズベルトがニューディール政策を行う際に裁判所に「疑わしきは合憲」とするように世論を喚起して成功した経過などを説明することにより、「選挙で選ばれる」ことにより為政者の自由度が増し、おかしな方向に行くことが阻止される効果を語っています。ただし、三権分立に手を突っ込むのは禁じ手で、アルゼンチンなど南米では、選挙で選ばれた大統領が裁判所を乗っ取ってしまって独裁化する例が述べられています。立法府の一部は自らの利益増大のために手を貸したそうです。アルゼンチンは100年前は豊かな先進国でしたが、独裁による国家運営の失敗で貧しくなってしまいました。12章は独立後のシエラレオネを例にとって、収奪的制度が固定化してしまう過程を詳細に説明しています。最悪の場合はマヤ文明のように内戦で社会が崩壊してしまう、と警告しています。70年も内戦ばっかりやっている下記の架空世界は将来が危ぶまれます。
https://www.biccamera.com/bc/c/entertainment/gundam/chronology.jsp

“Democracy is the worst form of government, except for all the others.” - W.Churchill 民主主義は最悪の政治形態だが、他のどれよりもまし。
“The virtuous circle arises not only from the inherent logic of pluralism and the rule of law but also because inclusive political institutions tend to support inclusive economic institutions. This then leads to a more equal distribution of income, empowering a broad segment of society and making the political playing field even more level. This limits what one can achieve by usurping political power and reduces the incentives to re-create extractive political institutions.”
equal distribution of income 収入の平等な配分
empower 強化する
segment 領域、セグメント
usurp ユ「サ」ープ、ユ「ザ」ーブ 奪う、乗っ取る 歴史学の用語。 = rob, steal, plunder

※為政者も法に縛られるかどうかが、絶対君主=独裁者かどうかの定義だと思います。もちろん過去には善意の(であろうとした)絶対君主もいましたが、数は圧倒的に少ないと思います。

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