CyberKnifeはロボットアームに平行度の高い強力X線発生装置を取り付けるのが新しい着想でした。線形加速器(linac)を使っているとのことですが、詳細な文献が見つかりません。Accuray社の特許は見つけました。ロボットアームにつけるものではないですが、加速器の使い方が書いてあります。
https://patentimages.storage.googleapis.com/71/f9/e7/f7d0b0481bb818/WO2010019311A2.pdf
1MV~9MVというかなり高エネルギーの電子を作ってタングステンなどの重元素のターゲットにぶつけるようです。タングステンターゲットに電子を当てる方式は撮影用のX線源でも使いますが、加速電圧が60kV程度です。MVを超える加速は直流電圧ではおそらくむずかしく、マイクロ波を使った空洞共振器で加速しているのではないかと思います。どのくらいのエネルギーかはわかりませんが、ロボットアームの先の数十cmに納めるのはすごい技術です。加速電圧が高いとその分高エネルギーのX線が出せること、強度も格段に強くできるためコリメータで絞って平行ビームにしやすいことなどメリットは色々あります。ガンマ線の定義は0.1MeVから100MeV程度なので、もし加速電圧が高ければ、発生させているのはガンマ線と言ってもいいかもしれません。
日本を含めいくつか加速器で照射装置をつくる研究論文があるので見てみましたが、面白いのは逆コンプトン散乱を使う方法で、X線やガンマ線の方向と偏光を制御できるようです。コンプトン散乱は高校物理でも習いますが、光と粒子がぶつかるときに光のエネルギーを粒子がもらって低エネルギーの光子が生じる現象です。逆に粒子のエネルギーを光がもらって高いエネルギーの光子に変わる現象が逆コンプトン散乱です。ロボットアームの先につけるにはちょっと大がかりだと思います。レーザーはファイバーレーザーが発達したので小型で強力なものができますが、この論文の自転では開発中だったようです。
https://www.pasj.jp/web_publish/pasj6/papers/tolsb03.pdf
英語は https://en.wikipedia.org/wiki/Gamma_ray
“Compton scattering is an interaction in which an incident gamma photon loses enough energy to an atomic electron to cause its ejection, with the remainder of the original photon’s energy emitted as a new, lower energy gamma photon whose emission direction is different from that of the incident gamma photon, hence the term “scattering.”
ejection 放出
emit 放出する
incident 入射
emission 放出、放射
remainder リ「メ」インダー 残りの
hence 「ヘ」ンス それゆえ、ゆえに
scattering 散乱
“Pair production becomes possible with gamma energies exceeding 1.02 MeV, and becomes important as an absorption mechanism at energies over 5MeV. By interactions with the electric field of a nucleus, the energy of the incident photon is converted into the mass of an electron positron pair.”
absorption 吸収
pair production 対生成(電子・陽電子の)