金曜日の読書 Why Nations Fail 今週は4章です。偶然の出来事が大きな進路の違いを生み、繁栄した国と貧困にあえぐ国が生じるという主張を展開しています。偶然の出来事の積み重ねが歴史である、と言っていますが納得できます。まず、ヨーロッパで包括的(inclusive)な社会ができた理由を1346年から繰り返し猖獗を極めたペストに結び付けています。全人口の1/3が亡くなったため、当時の封建社会で下層階級であった農民の数が減り、労働力の価値が上がったため、条件の良い領地に移動できるようになります。これがイングランドで何度か起こる革命の遠因であり、それによって国王や領主の力が制限されて包括的社会が形成された、というのは斬新な視点だと思います。有力な民間人からなる議会が形成され、工業生産や商業活動を国家が後押しするようになり、発明家や勇気をもって海を渡る商人に動機づけを与えます。その結果、産業革命がおこり、それがヨーロッパに波及します。しかし、国王・領主と議会との争いはイングランドでは議会の勝利に終わり効率的経済活動が行われますが、スペインでは国王の勝利に終わったため海外通商がスペイン王室のものになります。イングランドでは国王とつながりのない大商人が多数出ますがスペインではそうはならなかったため、1588年の戦争で司令官の能力差のためイギリスが勝ちます。最終的にはスペインはあまり豊かになれませんでした。アフリカへの影響も紹介されています。コンゴ王国にポルトガル商人がやってきたときコンゴ王国には収奪的農業社会がありましたが、コンゴのエリート層は人々を奴隷として売って銃を買い、収奪的(exclusive)社会の統制を強めてしまいます。この本には書いていないですが、日本は同様の場合に銃を国産化し、鎖国しました。下剋上の戦国時代で実力社会であったため人々がすでに能力を自分で磨く社会だったのがよかったのと、根は同じですが、エリート層が政治の実力を持ち賢かったのだと思います。
“Chapter 4. Small differences and critical junctures: The weight of history – the world the plague created”
critical 決定的な
junctures 岐路(きろ)
plague プれイグ 疫病
“At the turn of the fourteenth century, Europe had a feudal order, an organization of society first emerged in Western Europe after the collapse of the Roman Empire. It was based on a hierarchical relationship between the king and the lords beneath him, with the peasants a t the bottom.”
feudal order フューダる 封建秩序
the Roman Empire 「ロ」ーマン 「エ」ンパイア ローマ帝国
hierarchical ハイア「ラ」ーキカる 階層的な、階級的な ヒエラルヒ(キ)ー はドイツ語読みだと思います。
“The massive scarcity of labor created by the plague shook the foundation of the feudal order. It encouraged peasants to demand that things change.”
scarcity スケ「ア」シティ 希少性
labor れイバー 労働力
shook the foundation (shook <shake) 基盤を揺るがした
“It is not a coincidence that the Industrial Revolution started in England a few decades following the Glorious Revolution.”
coincidence コ「イ」ンシデンス 偶然の一致
the Industrial Revolution 産業革命
a few decades following ~の数十年後
the Glorious Revolution 名誉革命 1688年