世界の研究所:Cassini探査機

今週は、木星の大赤班について話題になっている論文をとりあげます。
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1029/2024GL108993
大赤班を最初に確実に報告した人はG. Cassini(1625-1712)です。この人は土星の輪の観測でも有名で、ESA-NASAの土星探査機Cassiniが1997-2017に運用されました。

Cassini-Huygens


上記論文は、歴史資料と計算機シミュレーションを組み合わせたもので、大赤班は定常的なものではない、という結論です。現在観測では、縮小中で、縮小速度が増大しているそうです。
カッシーニはジェノバ共和国の出身で25才でボローニャ大学の教授になっています。大学関係者としては、この経歴は不思議な気がします。現在の制度では不可能で、普通の能力ではないことは間違いないですね。
実際、有能だったと思われ、大赤班を生涯にわたって観察しつづけて記録を残したり、土星の輪の隙間を発見したり、数学的な発見もいくつかしています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%8B
使用した望遠鏡はホイヘンス兄弟の発明になるものですが、収差を減らして倍率を高めるため鏡筒をものすごく長くしたものです。光軸・焦点合わせ(手で行う)が気が狂いそうになるほどたいへんだろうと思います。
「二階から目薬」という言葉がありますが、それよりも長いです。対物レンズ径8インチ(20cm)、長さ150フィート(45m)のものも下記に出ています。
鏡筒はなく、光学系がむき出しですが、夜が暗かったので使えたのではないかと思います。
https://en.wikipedia.org/wiki/Aerial_telescope

英語は上記から。
the great red spot 大赤班
spot ほくろ の意味もあります。
Jupiter 木星
Saturn 土星
Huygens ホイヘンス(つづり注意)
aerial エアリアる 空気の
focal length 焦点距離
refracting telescope 屈折望遠鏡
reflecting telescope 反射望遠鏡
tube 鏡筒
“By holding the string tight and maneuvering the eyepiece, the observer could aim the telescope at objects in the sky.”
これは使える言い回しがいくつも入っていて暗唱してもいい文章です。
hold … tight しっかり保持する
maneuver 操作する (政治的には「策動」が訳です)
eyepiece 接眼レンズ
aim … at ~を狙う
“Telescope makers from that era found that very long focal length objectives had no appreciable chromatic aberration”
era イーラ 時代
appreciable 目立つ
chromatic aberration 色収差
“the two tubes were kept aligned by a taut connecting string.”
taut トート ピンと張った <-> slack ゆるんだ  syn. stretched tight, tense (about muscle or nerve), concise and controlled (about music or writing)

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