太陽系外惑星探査の方法 恒星の発光スペクトルのドップラーシフトの変調を調べる

太陽系外惑星のカタログが作られた話の続きです。やり方としては、望遠鏡で恒星をたくさん観測して変な動きをしているものを探し、見えない伴星(惑星)の質量と軌道を予想します。見えそうなら、高性能の望遠鏡でその恒星周辺を高感度測定すると惑星が実際に見え、分子固有の発光スペクトルから大気の成分を、そのドップラーシフトから速度、軌道半径を使って質量を割り出すというものです。
精密な観測が行なわれているので驚きますね。最初の変な動きの恒星は、米国のカリフォルニア州のハミルトン山にあるAutomated Planet Finderという望遠鏡(主鏡2.4m)を使うか、欧州宇宙機構のGaia宇宙望遠鏡、Hipparcos宇宙望遠鏡をつかうそうです。どうやら星の位置ではなくて線スペクトルのドップラーシフトで速度の周期的な変化を割り出すようですね。地球の場合、0.1m/sの速度変調を太陽に与えているそうで、これに近い桁が測れるそうです。光の速度が3×10^8m/sなので波長の変化は10桁目ということになるでしょうか。
すごい精度です。波長精度10桁だと1mの距離に置いた回折格子でで1Åのずれ、これは測定不可能なので、ファブリーペローのような干渉計を使うのでしょうね。室温の熱揺らぎが影響するはずです。冷やしているのでしょうか。
高性能の望遠鏡としては、ハワイのマウナケアにあるW.M.Keck望遠鏡とその隣にある、日本の国立天文台が作った、すばる望遠鏡があるそうです。どちらも大気の揺らぎをリアルタイムでとらえて反射望遠鏡の鏡を変形させるadaptive optics(補償光学系)を使っているそうです。これについては明日調べてみましょう。
この方法については去年論文が出ていますね。
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abo6192
すばる望遠鏡のサイトに日本語の解説があります。
https://subarutelescope.org/jp/results/2023/04/13/3255.html
先週ニュースになっていた論文は下記です。たくさん測っています。これまでに5000個の地球外惑星が見つかっているそうで、今回は小さいのもいろいろ調べたそうです。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4365/ad4484
もうひとつ面白いのがありました。先週報告された金星サイズのものです。国際共同研究ですが、解説はいろいろな機関が独立にかいていますね。
https://subarutelescope.org/jp/results/2024/05/23/3406.html
https://academic.oup.com/mnras/article/531/1/1276/7679807
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ad3642

英語は https://en.wikipedia.org/wiki/Automated_Planet_Finder
situated on the summit of Mount Hamilton, east of San Jose, CA. サンノゼの東、ハミルトン山の頂上に置かれた
extrasolar planet = exoplanet 太陽系外惑星
“The telescope uses high-precision radial velocity measurements to measure the gravitational reflex motion of nearby stars caused by the orbiting of planets. ”
radial velocity 動径速度、視線速度 観測者の視線方向(奥行方向)line-of-sight direction の速度。スペクトル線のドップラーシフトで測定できる。
angular velocity 角速度
reflex motion これは日本語訳が見つかりません。下記によれば惑星によって恒星の運動が変化することのようです。
https://ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/phys/particle-physics/quanz-group-dam/documents-old-s-and-p/Courses/ExtrasolarPlanetsFS2015/Week%202/150227_lec_n_ch2.pdf
reflexという単語は「神経の反射」が一番よく出てきます。また、元ラジオ少年としては、ラジオの信号を増強させる方法でレフレックス式という芸術的な回路は忘れてはいけません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E5%8F%97%E4%BF%A1%E6%A9%9F
nearby stars はここでは惑星の近くにある母星(恒星)のことでしょう。
“The telescope is also being used to search for optical signals coming from laser transmissions from hypothetical extraterrestrial civilizations”
hypothetical ハイポ「せ」ティカる 仮説上の
extraterrestrial civilization 地球外文明
※ 本気で地球外文明からのレーザー放射がこっちを向いているのをとらえようとしているプロジェクトが走っているのは痛快ですね。お金は誰が出しているのか、知りたいですね。いずれ取り上げます。

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