ラネーニッケル

独断ですが、ニッケルといえば水素添加触媒であるラネーニッケルが印象的です。これは1926年にアメリカの会社の技術者Murray Raneyさん(41才)がアルミとニッケルの1:1合金からアルミをNaOHaqで溶かしだすことによってつくった多孔質体のニッケルで、低温で高い活性を持つことが知られています。Raney(R)というのは彼が務めていた会社が商標化してまだ使っています。もうすぐ100周年ですね。
https://en.wikipedia.org/wiki/Murray_Raney
アイデアが湧いたので試してみたら一発でうまくいった、とのことです。こういうこともあるので、研究は面白いです。多孔質の孔径は50-100Åと極めて小さいです。合金から片方を溶かしだすことによってつくる金属を一般にRaney metalと呼んでいます。
Ptの粉末冶金法を考案したイギリスのW.H.Wollaston(ウォラストン 1766-1828, PdとRdの発見、Wollastonプリズム(方解石をうまく切って貼り合わせた精密な偏光素子)の発明)がやった方法も似ているのかなと思いましたが、違っていました。Wollastonの粉末冶金は温和な条件でPt塩を還元して非常に微細な粉を得ることによって低い温度と圧力でPt板を作れるようになったというもので、合金は使っていませんでした。
https://en.wikipedia.org/wiki/William_Hyde_Wollaston
合金から一成分を除去すると言えば、水銀と銅のアマルガムが奈良の大仏の銅メッキに使われたなど一般性があるので覚えておくといいと思います。これは金属に限るわけではなく、化合物や高分子などでも使えるかもしれません。

英語はhttps://grace.com/blog/who-was-murray-raney/
malleable 「マ」りアブる 展性がある level 15
ductile 「ダ」クタイる 延性がある level 17
“The catalyst played a crucial role in the hydrogenation of petrochemical feedstocks, leading to the production of valuable intermediates for the manufacturing of plastics and chemicals.”
feedstock 原料、供給原料
valuable intermediates 貴重な中間体
petrochemcal 石油化学
pharmaceuticals ファーマ「スュ:ーティカるず 製薬
medicinal chemistry メ「ディ」シナる 製薬化学
maritime 「マ」リタイム 海事の、航海の、 medicinalと似ている語感です。
legacy 「れ」ガスィー 伝統、(装置のコネクタなどが)旧式の
unveliing the brilliance of Murrey Raney Raneyの頭の良さを明らかにする、 ~の輝きに日の目を見させる brillianceの訳をどうしましょうか。

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