私は、何か斬新なものを作ろうというときには生物に学べないかを調べます。嗅覚センサーについては、動物には鼻があるのでその仕組みを見てみましょう。
検出される分子が結合できるポケットがあるタンパク質がセンサーです。Gタンパク共役受容体(G-protein-coupled/linked receptors)の一種で、脂質二重層膜に埋め込まれて浮いています。
https://numon.pdbj.org/mom/58?l=ja#
動画はあまりいいのがないです。
ポケットに分子が入ると変形してGタンパク質を活性化させます。(活性化すると2つに分裂する。GαとGβγ)。それが脂質二重層膜に埋め込まれた酵素と結合すると酵素のスイッチがオンになって、cAMPを生産します。
cAMPがNa+イオンチャンネルを開いてNa+の濃度を変え、濃淡電池の仕組みで神経電位を発生させるというしくみです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Cyclic_adenosine_monophosphate
https://web.williams.edu/imput/synapse/pages/IIIB4.htm
脂質二重層膜は2次元なので拡散で到達する時間が短いのでうまく動くのだと思います。Gαが制限時間内にcAMP生産酵素に到達できないと無効化されるメカニズムがあり、それが感度を決めていると思います。酵素の濃度を高くしておけば感度は高くできるはずだと思います。
Gタンパクのサブユニットがイオンチャンネルに直接結合して開閉することもあるようです。
人間の嗅覚センサーは100-200種類とのことです。少し構造が違う分子も結合できるでしょうし、onになったセンサーの組み合わせで認識する匂いもあるでしょう。これはガスセンサーを機械学習させるという方法を使う最近の試みと似ています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK10824/#:~:text=In%20humans%2C%20the%20number%20of,receptors%20is%20about%20100%E2%80%93200.
感度は、犬については、高感度な分子は8分子で嗅覚ニューロンをオンにできるとのことです。嗅覚受容体の種類は哺乳類は共通とのこと(遺伝子レベルで1000くらい、人間ではその25%が使われている)。
Gタンパクは嗅覚だけではなくホルモンなど分子を感じる機構のスイッチとして広く使われています。
ノーベル賞はGタンパク関連で9件出ているそうです。嗅覚センサーは2004年です。https://en.wikipedia.org/wiki/Linda_B._Buck
英語は wikipdeiaです。https://en.wikipedia.org/wiki/G_protein https://en.wikipedia.org/wiki/Olfactory_receptor
ligand らイガンド 配位子 ここでは、受容体に結合する被検出分子
olfactory 嗅覚の
“G proteins, also known as guanine nucleotide-binding proteins, are a family of proteins that act as molecular switches inside cells”
complex 複合体、錯体、複合した、複素数の アクセントは米国英語は後ろ、英国英語は前のようです。
cascade カス「ケ」イド 連続した小さい滝
“Some active-state GPCRs have also been shown to be “pre-coupled” with G proteins, whereas in other cases a collision coupling mechanism is thought to occur.”
Gタンパクに最初から結合している受容体もあり、後でぶつかって活性化する受容体もあるとのこと。種類によるのでしょう。
pathology 病理学
pathogen 病原体
“The olfactory receptor gene family in vertebrates has been shown to evolve through genomic events such as gene duplication and gene conversion.”
vertebrates 脊椎動物
evolve 進化する
gene 遺伝子
“Compared to many other mammals, primates have a relatively small number of functional OR genes. ”
ORはolfactory receptor 嗅覚受容体
mammal 「マ」ンマる 哺乳類
primate 霊長類
“Mice have a total of 1035 protein-coding OR genes, humans have 387 protein-coding OR genes.[41] ”
protein-coding OR genes タンパク質を実際にコードしている嗅覚受容体遺伝子
※マウスと人間では約3倍の種類の差があるようです。犬もそんなものでしょうか。