金曜日の読書「五輪書」は最後の「空の巻」です。この巻はたいへん短いです。
修行を重ねることにより、少しの曇りもなく、迷いの雲の晴れたところに至ることを「空」と言っています。
自分にはまだ知りえない世界があると自覚し、心の偏りや目のゆがみにとらわれていないかと常に反省しながら鍛錬を続けることが必要とのことなので、到達不可能でしょう。
この境地に近づけば、自動的に技が決まり勝つことができる、とのこと。
The Scroll of Heaven
… He should polish his mind and his will and sharpen the two visions – the one that consist in looking and the one that consists in seeing. He should now that true empty space is where the clouds of uncertainty have completely dissipated….
… 武士は兵法の道をたしかに覚へ、そのほか武芸をよくつとめ、武士の行う道すこしもくらからず、こころのまよふ所なく、朝々時々におこたらず、心・意の二つの心をみがき、観・見二つの眼をとぎ、少しもくもりなく、まよひの雲の晴れたる所こそ、まことの空と知るべき也。…
宮本武蔵は五輪書を書き上げて一週間後に亡くなっています。
書き上げた原稿を弟子に渡した日に、一切の所持品の始末をつけたのち、人生を振り返った二十一か条の「独行道」を書き記したそうです。
初回に紹介した「巌流島」の観光協会のブログに「独行道」の解説が載っています。
https://kanmontime.com/tomita/dokkoudou-miyamotomusashi/
私が感心した4つを抜粋します。
・我、事におゐて後悔をせず
・善悪に他をねたむ心なし
・いずれの道にも、わかれをかなしまず
・常に兵法の道をはなれず
私は今回初めて読みましたが、年齢によって感じ方が変わりそうな文章です。若い時から折に触れて親しんでおくと面白かっただろうと、少し残念です。
英訳が五輪書の訳本の付録にありました。
– Do not regret what you have done. 「すんだことをくよくよするな」これは精神の安定のために重要ですが、私は二十代前半はできなくて苦労しました。年齢による脳の変化(?)が解決します。
– Never be jealous of others, either in good or in evil.
– Never let yourself be saddened by a separation.
– Never stray from the way of strategy.
かっこいいと思いませんか。
※来週金曜日から、ドン・キホーテを読んでいきます。和訳は片上伸・島村抱月訳(大正4年刊、kindleで安かったので)。英訳は定評のあるEdith Grossman訳を使います。
原文も見たいですが、400年前のスペイン語は現代文とは違っているそうです。
※ これが第1000回になります。コロナ在宅時の学習のために2020年4月20日から始めましたので、4年です。「光陰矢のごとし」を実感しています。社会はリモート化が進み、国際情勢は変化して変化の大きな4年間だったと思います。