評判を収益化するしくみ

我々大学の教師は屋台のラーメン屋さんと同じくらいの零細企業だというのは時々言っています。私がやりたい研究は別として、持っている技術やノウハウはスタートアップに親和性があると思います。大学のシステムとして製品を作って稼いだり貯金をしたりできないので、ラーメン屋さんと同じ(?)不安定性を抱えています。そのため、最近はスタートアップ企業を作っている教員も増えています。欧米では整っているそのあたりの仕組みが日本でもだいぶ整備されてきました。
さて、企業化に必要なのは経営が上手な人材です。Y combinator(YC)社はwebの1つのタブを使ってco-founder(共同創業者)のマッチングというのをやっています。これは昨日の”batch”とは別で、厳しい選考がない掲示板のようです。ただ掲示板は公開されておらず、見ることができるのはYC社に認可された人たちだけだそうです。
https://www.ycombinator.com/cofounder-matching
得体の知れない組織がやっていれば情報を入れるのは危なそうですが、YC社の実績と評判があれば応募する人もいるでしょうね。同社にとっては、入力された情報を載せるだけなので、半自動化(変なのは落とす)も可能で、人材の情報と傾向がわかるので得るものは大きそうです。すでに10万件のマッチングが行われたそうですが、このマッチングでは手数料を取っていないそうです。
評判による信頼関係のネットワーク、というのは構築に時間が必要で大きな参入障壁になるので、この手のビジネスならば目標とすべきでしょう。
https://www.ycombinator.com/investors
というのもあって、スタートアップを投資家と繋いでいます。YC社が手伝ったスタートアップで$100M(150億円、おそらく時価総額)以上のものが110社、$1B(1500億円)以上のものが25社とのこと。最初に1500万円投資してそれが150億円になれば1000倍になるわけですから、投資家はそれなりの取り分はもらえるでしょう。工夫や発明を促す資本主義のいいところでもあり、格差を拡大するメカニズム(ピケティの”r>g”)の一つともいえるでしょう。
batch の卒業のときに、”Demo day”という成果発表会をするそうです。そこに参加できるのは、これまで同社のスタートアップに十分な額を投資した人だけ(コネが効かない)とのことで、ここにも自分の評判を収益化する工夫がみられます。

英語は上記webから。

barriers to entry 参入障壁
“Invitations are software generated and based on recent investment history in YC startups. If you do not receive an invitation, the best way to attend future Demo Days is to invest in YC companies.”
investment イン「ヴェ」ストメント 投資
“Demo Day is a two-day virtual event. At the start of the day, a single-slide company summary, short company description, and team bio is available through the YC Demo Day website. Each company presents for one minute, with breaks throughout the day.”
virtual event オンラインのイベント
※ 1社1分だけ、というのはすごいですね。
“The only members of your firm who can attend Demo Day are those who have the authority to write checks. ”
firm 会社
authority 権威、権限
to write checks 小切手にサインする、すなわち、かなりのお金の決裁権限があるということです。
“We recommend you tell this person to research YC companies on our Startup Directory and invest in them. Then they will automatically be eligible to be invited to future Demo Days.”
eligible 「エ」りジブる ~できる、~の資格がある ~を許可されている

“Transfers to other partners are generally fine; transfers to associates or other non-partner staff are not.”
transfer (参加証を)他人に渡すこと
partner, associates, non-partner は外資系コンサルや法律事務所、会計事務所等の勤務形態で聞く言葉ですね。役員、総合職社員、その他社員 という感じでしょうか。これは業態や会社によってもいろいろな意味があるようです。大学で言うと associate professor 准教授 がassociateに当たるわけですが、full professorとの一番大きい違いは組織そのものの構造(人事)の審議に参加するかどうか、です。これは他の業態も同じではないかと思います。
参考 
https://www.daijob.com/crossculture/takashi/20100511.html
https://okwave.jp/qa/q1725831.html#goog_rewarded
https://blog.cimplexmarketing.com/2022/03/associate-3/

consulting firms コンサル
law firms 法律事務所
accounting firms 会計事務所

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