硫黄酸化還元酵素(SOR)は中空の球体

硫黄を酸化還元する酵素 SOR(sulfur oxygenase reductase)は面白い形をしています。
https://www.rcsb.org/structure/7X9W
中空の球体です。こんなのが指先の操作で見えるのですから、いい時代です。4回対称性と3回対称性があって、出口のようなものがいくつか開いています。きれいです。
https://www.rcsb.org/3d-view/7X9W/1
使っている金属イオンは Fe3+のようです。
https://www.rcsb.org/3d-view/7X9W?preset=ligandInteraction&label_asym_id=BA&density=true
操作する相手は HSSCH2CH(NH2)COOH だそうです。S-Sを切ってH2Sを作ったり、SO3^2-を作るのだと思います。中性のS8からどうやってSを取り出すのかは見つかりません。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1133771/
に仕組みについて少し記述があります(2004年の論文)。実験はクライオ電顕のほか、EDTAで処理してFeが外れるかどうか調べたり、他のイオンを加えたり、尿素を加えて変成させたりしています。
なぜ中空なのか、不思議です。ferritin(フェリチン)という鉄をため込むタンパク質と似ているがもっと大きいというコメントが書いてあります。進化上どう関係しているか興味深いです。解けない謎かもしれません。

※年度末行事で時間が取れず、S8の分解やC-S結合生成切断の秘密には踏み込めませんでした。またこのテーマを調べたいです。

英語は https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1133771/ から。
“Wild-type, recombinant and refolded SOR possessed indistinguishable properties. ”
wild-type 野生型 (自然界からとってきたもの)
recombinant バラバラにした酵素のユニットを再結合したもの
refolded 変成させたものをもとに折りたたんだタンパク質
possess ポ「ゼ」ス 所有する
indistinguishable インディス「ティ」ングィッシャぶル 区別できない
“The analysis of the quaternary structures showed a ball-shaped assembly with a central hollow core probably consisting of 24 subunits in a 432 symmetry.”
quaternary ク「ワ」ータナリ 4つからできている(四元の)
cf. unitary 単元の、binary 二元の、 ternary 三元の、quinternary 五元の  これらはラテン語由来でしょう。
hollow core 中空の芯
“The spectroscopic data and the sequence comparison led to the proposal that the Acidianus ambivalens SOR typifies a new type of non-haem iron enzyme containing a mononuclear iron centre co-ordinated by carboxylate and/or histidine ligands.”
※持って回った言い回しですが、論文なら許されるのでしょう。
typify ティピファイ 典型例となる。
non-haem iron 非ヘム鉄  hemoglobin ヘモグロビン

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