C1 化学と不均一系触媒

今週はC1 chemistryについて普通でない切り口から解説していますが、オーソドックスなCOを使った反応は膨大な量の研究があります。
溶液中の錯体で配位子を精密に作りこむ均一系触媒もいろいろありますが、金属や金属酸化物のナノ粒子、他の物質(担体という)表面に触媒となる数原子が載った不均一系触媒の研究が多いです。これは高温高圧で使えるので、気体を原料とした大量合成に向いています。
不均一系触媒は、昨日の話にもあったように、最近は量子化学計算の精度が上がったことと、電子顕微鏡で原子が見えるようになったことから進展著しい分野です。
私は化学者としては酸素以外の16族(S,Se,Te)に愛着があるので、C1化学でもこれらを使ってみたいと思っています。
残念ながら、昨日の高い本にはチオール(-SH)やジスルフィド(-S-S-)がほんの少ししか出てきません。最近は二硫化炭素(CS2)をよくいじっているので、CS2が使えないかと思って文献を探しています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0920586109002193
が見つかりましたが、あまり研究されていないようです。
CS2の標準生成エンタルピーは+89.7kJ/molで単体のSやCより不安定、CO2(標準生成エンタルピー -393.5kJ/mol)に比べて大きく不安定な化合物です。CS2をC1化学の原料に使えば簡単に有機化合物ができそうです。
CS2は引火点が-30℃という消防法の特殊引火物で取り扱いが面倒、さらに臭くて有毒ですが、COとどっちが嫌かというと私は無味無臭で猛毒のCOです。
従来のC1化学の触媒はNiやCoの酸化物が多く、硫黄が来ると壊れてしまうことが知られています(被毒、poisoning)。なぜか、を考えるといろいろなヒントがあるかもしれません。
硫黄を代謝に使っている硫黄細菌というのがいるので、酵素の金属として何を使っているかがヒントになるかもしれません。海底熱水孔など高温で生きていることも工業応用に役に立ちそうです。来週の題材にしましょうか。

英語は 「特殊引火物」の関係、その他から。
fire protection law / the Fire Services Act 消防法
explosives and combustibles 危険物(爆発・可燃物)
energetic materials 爆薬材料
special inflammable materials 特殊引火物
LDOCEでは、 inflammbable: “inflammbable materials or substances will start to burn very easily” [synonym] flammable とあって、”in”がついているのに否定ではないのが面白いです。
flammableでないものは nonflammableだそうです。 また、easily becoming angry or violent, or making people angry or violent とあって、「キレやすい」とか「キレさせやすい」という意味もあるようです。
catch fire 引火する
ignition point 発火点
combustible gabage 可燃ごみ
incombustible gabage 不燃ごみ
poisonous/toxic substances 毒物
deleterious substances 劇物 デら「テ」リオス = damaging or harmful
poisoning of catalysts 触媒の被毒(ひどく)
carrier 担体 (運ぶもの)
catalyst support 触媒担体 (触媒のときはsupportが普通です)
homogeneous catalysts 均一系触媒
inhomogeneous catalysts 不均一系触媒

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