不均一触媒の計算化学

CO2還元はいわゆるC1 chemistry (シーワン化学)の一種です。今後石油がなくなった後での化学品原料としてC1化学が重要になることは間違いないでしょう。と思って最新の参考書を買いましたがいい値段でした。

著者は中国の学者ですが、中国は昔から石炭液化をやっていたのでC1化学は得意です。私があまり勉強していない分野なので、目からうろこのところがいろいろあります。1700ページあるので、しばらく楽しめそうです。図書館にも入れるように頼んでおきましたが、入るにしても時間がかかると思います。
さて、昨日の電流によるCO2→CO+0.5O2の反応で、銀のナノ粒子の大きさに最適値がある(5nm)という話で理由はわかっているのか?、と思って調べました。
下記の計算化学の論文が答を与えているようです。
https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acscatal.5b00462
CO2還元反応は下記の機構でおこるそうです。
 CO2 + (H^+ + e^-) → COOH
 
COOH + (H^+ + e^-) → CO + H2O(l)
 
CO + H2O(l) → CO(g) + H2O(l)
*は表面吸着種を表します。
律速は真ん中の反応で、H2発生(hydrogen evolution reaction; HER)と競合します。低指数の表面でこの反応が最も速くなる(活性化エネルギーが低い)のがAg(211)面でした。
また、H2発生が速くなるのが(111)面でした。Agのナノ粒子は正20面体で、その辺は(211)面と同じ原子配列、頂点は(111)面と同じ原子配列になります。
したがって、正20面体の辺がたくさん出ているが、頂点があまり出ていない粒子がCO2還元性能が高いということになり、実験でもとまった5nmに最適値があるという結果を説明できます。
注意すべきは、ちゃんと辺や頂点を出すためにはあまり小さい粒子を計算してはいけないといことです。この論文の前の13原子からなる計算ではうまくいかないのは当たり前とのこと。なるほどです。

英語は 久しぶりに多面体の関連用語です。
Platonic regular polyhedron プラトンの正多面体
Platonic body , Platonic solid プラトンの立体 (Platonic loveの仲間と思ってはいけません)
Plato プラトン https://en.wikipedia.org/wiki/Plato
tetrahedron 四面体
cube 立方体
octahedron 八面体
dodecahedron 二十面体
icosahedron 二十面体
docosahedron parallelpiped 平行六面体
edge 辺
vertex 頂点
apex 尖った頂点
facet 面
face 面
trapezoid 台形
truncated cone 円錐台 ト「ラ」ンケイテッド 角を落とした

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