昨日紹介した3M社の電気化学的CO2還元(COをつくる)は、電解液に硫酸とイオン液体、陰極(CO2を還元する側)に銀ナノ粒子、陽極(酸素発生側)に白金ナノ粒子を使っています。
CO2は水素結合を作るような官能基(アミンなど)があると良く溶けますが、硫酸を使っているのが斬新です。硫酸にはCO2が溶けにくいので溶かすためにイオン液体を使っているのかもしれません。
Agを触媒に使っているのが面白いです。明日紹介する参考書でAgを触媒に使う例がないか調べましたが、CO2の水素添加に使っている文献が1つあるだけで、それほどありふれた反応ではないようです。
還元側で使っているので銀ナノ粒子は溶けたりはしていないと思います。どういう仕組みか不思議に思って調べたところ、たくさん引用されている
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jp310509z
が見つかりました。Agナノ粒子の大きさが5nmのときはバルク表面よりも10倍活性が高く、1nmの時は活性がなくなるとのこと。中間体の吸着が効いているのだろう、ということです。
この論文では、中間体は EMIM^+(l) + CO2(g) + e^- → complex(ad) であらわされる complex(ad) とされています。EMIM^+は使っているイオン液体の陽イオンです。なぜ吸着エネルギーがナノ粒子サイズに依存するかは、計算を待ちたいとのことで、これが2013年です。その後どうなったでしょうか。
英語は この論文から拾ってみます。今回はいろいろ切羽詰まっていて、ガチの化学の話ですみません。
enhanced activity 強化された活性
“We attribute this effect to a volcano effect associated with changes of the binding energy of key intermediates as the particle size decreases.”
attribute ~に帰する、~のものだとする
volcano effect 火山型の効果(何かの変数を系統的に変化させたときに真ん中が高い性能を示すこと) ヴォる「ケイ」ノ
associated with ~に関連する
binding energy 結合エネルギー
key intermediate 鍵となる中間体
sulfric acid 硫酸
electrolyte 電解液
catholyte and anolyte 陰極電解液と陽極電解液
“The explanation for these different effects is not obvious.” これらの異なった効果の説明はすぐにわかるものではない。 obvious 「オ」ブヴィアス 明確な、明快な、すぐにわかる