今年は学科の世話役(担任のようなもの)なので、年度末になると突発的な用事がいろいろ入って夜中まで時間がとれません。「今日の英語」の解析が浅くなるのが残念です。
さて、dysonの掃除機はサイクロン式の代名詞ですが、サイクロン式の粉塵分離装置は1886年にMorseという人によって発明されています。下記がおそらく対応する特許です。
https://patents.google.com/patent/US979987A
サイクロン集塵機の理屈はwikipediaに出ています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Cyclonic_separation
これを見るとサイクロンの回転する気体の中にある粒子は、外向きに動く動きに対する抵抗力(外向きの速度に比例。空気の粘性による)、遠心力、そして浮力(遠心力に対する)が働きます。
外向きの速度は、「遠心力-浮力」と抵抗力が釣り合うところで一定(終端速度)になります。その時の速度は、
V_r=(2/9)r_p^2*V_t^2/mu/r * (ro_p – ro_f) で、ro_pは粒子の密度、ro_fは流体(掃除機では空気)の速度です。r_pは粒子の大きさ、rは流体が回転するサイクロンの半径、V_tは流体の回転速度(接線方向の速度)、muは粘度です。
空気の回転速度が速いほど粒子の外向きの速度が大きくなり、ゴミ粒子が集めやすくなります。
面白いのは、流体よりも軽い物質では浮力で中心に集まってくることで、これは二層式洗濯機で泡が中心に集まってくることに対応します。また、水より軽い衣類やゴミも真ん中に集まってくると思われます。中心(普通は水を回すためのらせんを切った棒が回っている)にフィルターや排水口を付けると有効かもしれませんが、見たことはないですね。
粒子の大きさr_pが小さかったり、軽い粒子(ro_pが小さい)だったりすると、V_rが小さくなり、ゴミの気流からの分離が難しくなります。
ダイソンの掃除機は穴が分かれて小さくなっていてだんだん回転速度を上げるように作られているようです。空気の流速は45mph(miles per hour)から120mph, 重力の79000倍の遠心力をつくっているそうです。125000rpm(=毎秒2083回転、ターボ分子ポンプに匹敵)のモータは確かに威力がありそうです。
https://www.dyson.sa/en-SA/products/vacuum-cleaners/dyson-v10/technology
120 mph = 54 m/s で、音速340m/sは超えないですが、引っかかりがあるとその近傍では音速を超えるかもしれません。音速は空気の分子の平均速度で、それを超えると分子がついていけなくて大きな圧力差=音波が生じるので、サイクロン式の音がうるさいのは仕方がないですね。
英語は https://en.wikipedia.org/wiki/Cyclonic_separation から
cyclon サイクロン インド洋の大型熱帯低気圧
hurricane ハリケーン 北米の大型熱帯低気圧
typhoon 台風 アジアのの大型熱帯低気圧
rpm = rotation per minute 毎分の回転速度の単位
mph = miles per hour
equation of motion 運動方程式
radial velocity 動径方向の速度
tangential velocity 接線方向の速度
buoyant force 「ボ」イヤント 浮力
buoy 海のブイ
alternative models ほかのモデル、代替モデル
alternating current 交流、AC
agglomeration of fine particles with larger particles 微小粒子が大きな粒子に合体して塊になること
agglomerition = a mass or collection of things, an assemblage 合体したかたまり