風邪の症状は上気道の感染に対する免疫の反応だからウィルスが違っても似ている

白血球の仲間のマクロファージが病原体を見つけると免疫反応が始まり、その最初が炎症を起こすサイトカインの放出でした。だるくなったり痛くなったり熱が出たりすのは病原体の直接の影響ではなく、免疫反応なので、200種類ものウィルスがほぼ同じ風邪の症状を起こすのが納得できます。
くしゃみと咳は異物を外に出すための動作ですが、病原体をまき散らす効果もあり、人間側と病原体側のどちらに役に立っているかは疑問ですね。最近は寄生体が宿主を操作する例が見つかっているので、その一種かもしれません。
他の応答は、頭痛、だるさ、関節痛など、人間の行動を抑制して安静にする方向です。休めないで動き回っていると風邪が治りにくいのは経験則、病原体の増殖スピードを免疫系が抑え込めないとサイトカインストームが起こり、全身性炎症症候群→多臓器不全で崩壊に向かいます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Cytokine_storm
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E8%BA%AB%E6%80%A7%E7%82%8E%E7%97%87%E5%8F%8D%E5%BF%9C%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4
歴史上の人物にも過労で風邪をこじらせて亡くなった例があります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E5%B7%9D%E8%8B%B1%E9%BE%8D
安静にすると本当に早く病原体をやっつけられるのでしょうか?調べてみるといくつかの記事が見つかりました。
下記はGuardian紙の読者の質問コーナーで、頓珍漢な答えもありますが面白いのもあります。
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2019/sep/24/resting-help-recover-from-cold-notes-queries
下記はそこに貼ってあった睡眠と免疫系の関係の論文です。免疫記憶に睡眠が役立つという結果です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3256323/
下記はCOVID-19の後遺症が、治ってすぐ運動することによって引き起こされるのでは?という雑誌の記事です。これは個人レベルの話なので、検証が必要でしょう。細胞中のミトコンドリアがダメージを受けているという説を紹介しています。
https://time.com/6215346/covid-19-rest-helps/
食べ物も重要だそうです。ウィルス感染(風邪など)のときはブドウ糖が効くが、細菌感染の時は糖を取らないほうがよいという研究例です。糖類をとらないと脂肪が分解されるケトン代謝が起こるので、そのせいではないかと主張しています。
https://www.newscientist.com/article/2105986-what-you-eat-when-youre-sick-may-determine-if-youll-get-better/
https://www.cell.com/cell/pdf/S0092-8674(16)30972-2.pdf
この概念を拡大解釈して炭水化物を取らない「健康法」もありますが、その実践者が早死にした例があるので要注意です(日本の例を上げましたが、米国でも起こっています)。今年の研究で心臓疾患を起こす可能性が指摘されています。
https://gendai.media/articles/-/47984
https://edition.cnn.com/2023/03/05/health/keto-low-carb-high-fat-diets-heart-disease/index.html
人間の場合60兆個の細胞を制御して防御システムを含む精密な機械をつくりあげているのですから、生命は偉大だと思います。自分の生命にも他の生物に対しても敬意を持ちたいです。

“sleep facilitates the extravasation of T cells and their possible redistribution to lymph nodes. Moreover, such studies revealed a selectively enhancing influence of sleep on cytokines promoting the interaction between antigen-presenting cells and T helper cells, like interleukin-12. ”
extravasation 血管外漏出、血管外遊走
redistribution 再配置
antigen 「ア」ンティジェン 抗原
antigen-presenting cells 抗原提示細胞 (貪食により病原体を分解したマクロファージなどが表面に断片を信号とともに提示し、接触したヘルパーT細胞に情報を伝える)
antibody 抗体 
lymph リンパ
cytokine storm サイトカイン・ストーム
low-carb diet 糖質制限ダイエット
carbohydrate 炭水化物
premature death 早死
fatigue 疲労、だるさ
post-exertional malaise 労作後倦怠感
exertional エクサーショナる
malaise マ「れ」イズ 不調、倦怠感
pathogen 病原体
Long COVID コロナ後遺症
glucose ブドウ糖
immune memory 免疫記憶。 治ったあともメモリーB細胞として少数が保存され、同じ病原体が来たら量産して素早く対応する https://www.macrophi.co.jp/special/1889/
Take care. / Please take good care of yourself. お大事に。
cuddle カドる (動詞)優しく抱きしめる、よりそう、(名詞)よりそうこと level 9
cuddly カドりー (形容詞) よりそうような、優しい  Is Japan cuddlier friend to southeast asia countries? 日本は東南アジアの諸国にとってより親密な友好国なのか?
“That may be because long-haulers have impairments in their mitochondria, which generate energy cells can use, recent research suggests.”
long-haulers 「ホ」ーらーズ haulは運搬する、引っ張る で「COVID19を長く引きずっている人」の意味で使うようです。
impairments 不調
mitochondria ミトコンドリア

※ 「今日の英語」は明日から1週間お休みをいただきます。皆様がよい年末年始を迎えられますよう、また来年が素晴らしい年でありますようお祈りいたします。

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