ゴールドラッシュに関する日本語の書物は少ないです。今「カリフォルニアの黄金-ゴールドラッシュ物語 越智道雄著 朝日選書」を斜め読みしています。紀行文形式で情報をピックアップするのには骨が折れますが、雰囲気がわかります。
第一次ゴールドラッシュで得られた金は当時のお金で5.83億ドルというのはこの本の記述です。貨幣価値の換算は資料が探せなかったので、この本の「元の暮らしに戻って1日働いて50セントか、それともここで1日4ドルもらうか」という記述から、50セントが現在の日本円にして5000円くらいかな、というところで8兆円程度と換算しました。
1848年にカリフォルニアで大量の砂金が発見され、大統領が演説で紹介したため東海岸から未開拓のカリフォルニアに数十万人が殺到しました。まだカリフォルニアは米墨戦争(1846-48)でメキシコから割譲を受けたばかりで、ゴールドラッシュによって数年で町ができていきます。中国や中南米からも数万人が来ましたが、10数年後に金が枯渇してきたときに人種間で金の奪い合いが起き、多くの人が亡くなったとのことです。米国で銃による自衛権が重視されている理由の一つがこれでしょう。
また、native Americansから採掘のために土地を奪う行為も組織的に行われました。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/051900241/
https://academic-accelerator.com/encyclopedia/jp/california-genocide
しばしばビジネス書に紹介されるエピソードに、金の発見時に町にいた目端の利く商人が、採掘のための道具を扱う店を開いてから大々的に金が見つかったことを宣伝した、というものがあります。末端の現場ではなく、その周辺で安定したビジネスができないかを考えよ、という教訓です。
カリフォルニアで始まったゴールドラッシュはオーストラリアなど世界に飛び火し、金の流通量が飛躍的に増大しました。これが信用創造につながり世界の経済発展に寄与しましたが、揺り戻しが世界恐慌で、その時に金本位制のため緊縮政策を採用した日本は大打撃をうけた、というのはいずれ解説したいところです。話は飛びますがビットコインも金と同様に総量が決まっている設計なので、近未来にどうなるかは観察する価値があります。
英語は https://en.wikipedia.org/wiki/California_Gold_Rush から
prospector 山師、採鉱者
“Gold worth tens of billions of today’s US dollars was recovered, which led to great wealth for a few, though many who participated in the California Gold Rush earned little more than they had started with.”
billions of… 数十億ドル → 数兆円、で桁はあっていますね。
wealth ウェるス 富 少数だけが富み、多くの人は儲からなかった、というのはありがちです。
“By March 1848, rumors of the discovery were confirmed by San Francisco newspaper publisher and merchant Samuel Brannan. Brannan hurriedly set up a store to sell gold prospecting supplies, and he walked through the streets of San Francisco, holding aloft a vial of gold, shouting “Gold! Gold! Gold from the American River!””
rumors ルーモアズ うわさ
gold prospecting supplies 金採鉱用具
holding aloft a gold vial 金の入った瓶を高く掲げながら
“Each of these routes had its own deadly hazards, from shipwreck to typhoid fever and cholera.”
deadly hazards 死の危険
shipwreck 難破
typhoid fever 腸チフス サルモネラ属のチフス菌による。人の腸の細胞内で増殖し破壊する。 cf 発疹チフス typhus の病原体はリケッチアで全く別の病気
cholera コレラ