昨日のGDP per capita(一人あたりGDP)の続きを少し。GDP(Gross Domestic Product)には貿易外収支は入っていないようです。
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/term.htm
http://www.meijigakuin.ac.jp/~kumakura/teaching/IE/IE_04.pdf (pdf注意)
貿易外収支はサービス(旅行など)と資本関係があります。日本は全体として約500兆円の対外純資産があり、外国にお金を貸しています。この額は現在のところ減る傾向にはありません。
その利子(第一次所得収支)がここ数年は30兆円/年くらいあり、一人頭24万円くらい潤っている勘定です。思ったより少ないかもしれませんが、好きに使っていいならばうれしい額ですね。
元手を貯めたのは引退した老人の方々なので、その生活を支えるのに特に向いているお金だと思います。年利6%で回しているのはすごいです。目の利く人が金融機関、商社等の要所にいるのでしょう。
ヨーロッパの小国でGDP per capitaが非常に高いところがありますが、これに類するお金が手数料などとしてGDPの中に分類されているのではないかと思います(要確認)。
政府はなにかというと外国にお金を配っていますが、それは国際秩序が壊れると、この利子収入がなくなる恐れがあるためだと私は理解しています。
我々は技術をがんばって、みんなで楽しく暮らしましょう。
さて、半導体微細加工の話に戻りますが、現在3nmプロセスが最先端です。これは、簡単に言うと回路の最小寸法です。3nmは台湾のTSMCと韓国のSamsungだけが量産できますが、TSMCのほうがシェアが大きいです。
シリコン等に回路の図面(マスク)を光でコピーを繰り返して作りますが、回折限界というのがあって、波長より短いパターンを写すことができません。
数十nmプロセスくらいまでは波長254nmの水銀放電管や、波長193nmのArFエキシマレーザー(DUV=deep ultraviolet)が使われていました。これは、コヒーレントな光を使った時にパターンの端に出る干渉縞を使って、微妙に変えたパターンを複数枚繰り返しコピーすることで、強弱のパターンを作って波長より小さいパターンを写す技術です(干渉露光)。
屈折率を上げると波長が短くなるので、半導体を液体(水)につける液浸という技術も使われました。20年前くらいの話です。
https://www.exposure-equipment.com/knowledge/immersion-exposure.html
先日Huaweiの子会社HiSiliconとSMICが7nmの回路(スマホ用のKirin9000Sプロセッサ)を作ったというニュースがありましたが、この方式を極めたものと思われます。
https://thediplomat.com/2023/09/what-does-huaweis-homemade-chip-really-mean-for-chinas-semiconductor-industry/
しかし、干渉露光では、マスクの枚数が非常に多くなるので、作るのに時間がかかる、歩留まりが悪くなる(多数のマスクの位置合わせの失敗が許されない)といった問題があり、波長の短い光源(EUV = extreme ultraviolet, 極端紫外線)の開発競争が行われました。続きは明日です。
英語は https://thediplomat.com/2023/09/what-does-huaweis-homemade-chip-really-mean-for-chinas-semiconductor-industry/ から。
due to allegations of national security risks 国家安全保障リスクの主張 allegation (十分な証拠のない)申し立て、主張、いいがかり
sanction 制裁
United States’ Entity List 米国取引制限リスト “entity”は 実在、本体、自主独立体 で、この場合は制限対象の事業体を指します。
“The strategy lies in using lagging-edge technology to bounce up to leading-edge technology.”
lagging-edge 時代遅れの time lag 時間遅れ
leading-edge 最新式の
“DUV machines need three to four rounds of patterning to finish 7 nm chips and hence the yield is terrible”
the yield 歩留まり
hence それゆえ、だから
“If not, then the announcement of a breakthrough in chip production is merely a publicity gimmick to lure applause from the Chinese leadership.”
gimmick ギミック 凝った仕掛け
lure 釣りのルアー、疑似餌、ルアーで釣る
applause アプ「ろ」ーズ 喝采
paradigm 「パ」ラダイム と読みます。日本語になっています。
“Even so, China’s lagging-edge build out and Huawei’s resurgent breakthrough in achieving a 7 nm indigenous chip definitely boosts domestic fervor in chip manufacturing amid the West’s technology denial regime. ”
resurgent リ「サー」ジェント 生き返る、再起の level 19
indigenous イン「ディ」ジナス 原産の、土着の、固有の level 8 ここでは domesticと同じ意味(国産の)でしょう。
amid ア「ミッ」ド ~の最中に
denial デ「ナ」イアる 否定の、拒否の
regime 体制、政権、制度 レ「ジ」ーム level 5