西行(10) 銀の猫

金曜日に読んでいる西行(さいぎょう)の解説書は西行の最後の東北への旅の続きです。69才で徒歩で行くのですから気力と体力が伴っていなければなりません。
「吾妻鏡」に有名な記述(真偽不明)が紹介されています。
1186年8月に鎌倉を通った際、頼朝に和歌の講義に加えて、弓と馬術の技術について語ることを依頼されますが、「出家の際に家伝の弓と馬術は罪深いものとして自分の心から消し去って忘れてしまった。
和歌については、月や花をみて心に感じたままを31文字に表しているだけで、特に深いことはない」と語って、贈られた銀の猫を門前の子供に渡して去っていったということです。
西行がこの旅で寄付を募りに行った平泉の奥州藤原氏は西行の親戚筋ですが、この3年後の1189年に頼朝に攻撃されて滅亡します。
この旅とは関係なさそうですが、文覚和尚との対談が紹介されています。西行を嫌っていて会うことがあったら殴ってやると言っていたのに実際に会ったら親切にもてなしたので、不信に思った弟子が問うと、「西行のほうが強かった」:古文で読んだほうがリズムがあって面白いです。Yahoo知恵袋は理系の記述は嘘が多いですが、下記の訳は正しいと思います。確か高校の古文にあった「あらいうかひなの法師どもや、」は覚えがあります。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1189581201
文覚の孫弟子で40年間自分の見た夢を解析した記録を残したことで有名な明恵上人(1173-1232)とも和歌と仏教について対談したとされています。

俳句につながる「わびさび」の端緒が下記の和歌に感じられる(色があせることによって美しくなる)とのことです。同意しますね。静原は鞍馬山近くのようです。

やまがつの 住みぬと見ゆる わたりかな ふゆにあせゆく 静原の里

What I see when I
look around are the dwellings
of poor mountain people:
colors get faint in so quiet
a village in mid-winter

“Saigyo does not see winter’s removal of the rich colors of prior seasons as necessarily a loss, or as a diminution of beauty.”
diminution デメ「ニュ」ーション 減少
“aesthetic preferences in later poetic form (…wabi)”
aesthetic エス「せ」ティック 美的な
preferences プ「レ」ファレンス 好み、志向

先週の「風になびく 富士の煙の 空に消えて 行方も知らぬ 我が思ひかな」の解説でいい単語があるので覚えましょう。
“Writing at a time when Fuji, not then in its current dormancy, was showing its volcanic nature by means of a thin column of smoke arising from its crater,”
its current dormancy 現在の休火山の状態  dormancy 休眠 <フランス語 眠る dormir
crater クレーター 火口
retrospection 回想
“Astutely the poet suggests that,… ”  アス「トゥ」ートり  賢く、相手の意図を見抜いて level 26
astute 明敏な、抜け目のない、ずるい level 11
“The sakura in full bloom had not only represented quintessential beauty but could also arouse something flamelike within him.”
quintessential クインテッ「セ」ンシャル  典型的な level 12 Typical enka songs having those features are sometimes called ‘doenka’ (quintessential enka). (weblio例文)

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