レニウムの用途は主に合金です(単体は希少ゆえ高価)。単体の融点が3185℃と非常に高いので、高温材料に向いています。例えばNi基の単結晶タービンブレードに添加してナノレベルで規則構造を作り、疲労により粒界が成長するのを防ぎます。W-Re合金は酸化しない環境下で高温の熱電対に使われることもあります。各種電子源のフィラメントにも入っています。周期表の第6周期になると原子核の電荷が大きいので内殻電子の軌道が小さく押し込められるので速度が速くなり、特殊相対性理論の効果(質量が増える)が強く現れます。そのため、価電子のエネルギーも深くなって化学的な反応性が減少したり、逆に特殊な触媒活性が現れたりします。レニウムは腐食に強い金属です。被毒しにくい有機物の水素化触媒として知られています。また、金属の中できわめて硬いのに冷間加工が可能なので、高圧セルのガスケットに使われます。硬い理由は簡単ではないですが、金属結合が強いからで、ランタノイド収縮で原子半径が小さい割に価電子がたくさんあるから、という説明ができると思います。Re-Reの結合をもつ錯体のRe-Re結合は四重結合とみなせることが知られています。結合次数が大きく結合相手との距離が短く、さらに結合手が多いと硬くなるので、Reはかなり満たしているのが理由だと思います。冷間加工ができることから、不純物(酸化物)等による欠陥のピン止めが硬さの原因ではなく、化学結合からきているといえます。また、比重が21.0g/cm3と極めて重いのも特徴です。レニウムはマンガンの2つ下で7族です。
酸化物ReO3は桃色で、金属的性質を持つ変わった物質です。これも触媒になります。酸化物は昇華性で250℃で昇華するそうです。
youtubeで本物を触っています。レニウムは高価で、この粒の量だとざっと見て末端価格は数十~100万円くらいではないでしょうか。元手がかかっていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=dTCQR-bbPhQ
refractory materials 耐火材料
corrosion-resistant 腐食に強い
fatigue 疲労
filament フィラメント
grain boundary 粒界
thermocouple 熱電対
catalytic activity 触媒活性
poisoning (触媒の)被毒、(人間等が毒にあたる)中毒 ポイズニング <poison
cold work / cold working 冷間加工
lanthanide contraction ランタノイド収縮
lanthanum ランタン 「ら」ンさナム
valence electrons 価電子
group seven in the periodic table 周期表で7族
hydrogenation 水素化 ハイドロジェネーション
initial cost / initial investment 初期費用、初期投資 ここはこちらでしょう。
capital / fund 元手
brittle 脆性(ぜいせい)をもつ、もろい
ductile 延性をもつ 「ダ」クタイる
extensible 展性をもつ
manganese 「マ」ンガニーズ マンガン
manga 漫画
末端価格 retail price 「リ」テイる 小売
卸売価格 wholesale price 「ホ」ーるセイる 卸売