金曜日は「夏への扉」を読みながら「時間」について考えています。今日は化学反応における時間を支配するアレニウス式における”pre-exponential factor”(前指数因子)、別名 “attempt frequency” (試行周波数)について考えましょう。いわゆるEyring(アイリング)の絶対反応速度論では、化学反応が起こるときには反応する分子たちが作る活性複合体の遷移状態があり、活性複合体中の分子振動により反応障壁を超えると生成物が生じると考えます。その時に反応障壁を超えようと「試行」する分子振動の周波数が「試行周波数」で、試行1回につき反応障壁を超えられる確率がexp(-Ea/kT)となります。アレニウスプロットをやったことがあればわかると思いますが、前指数因子はかなり誤差が大きく、「本当に分子振動の周波数なのか?」という変な値になることもあります。その場合には素過程1つの反応であるかどうかをチェックする必要がありますが、そうでないときも、活性化エネルギーと前指数因子が相関を持つというMeyer-Neldel則(半導体のキャリヤについてが典型的)が経験的に知られています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Enthalpy%E2%80%93entropy_compensation
固体表面やナノ領域で原子が見える顕微鏡が発達したため、原子の拡散過程は1つ1つ実測することができるようになり、コンピュータシミュレーションと合わせて実際に拡散の活性化エネルギーと前指数因子が関連する機構が明らかになりつつあります。例えば下記論文です。
https://www.nature.com/articles/s41467-020-17812-2
これによると、不純物の拡散においては活性化エネルギーと関与する原子の振動ポテンシャルの形に相関があることがその原因であると結論づけられています。とりあえずこの問題はだいぶ解決が見えてきたという印象です。
本のほうは第5章です。
“Especially in an extreme lapse like yours. Thirty years.”
あなたのように極端に長い時間がたっている場合はとくにそうです。30年ですからね。
“They(=Belle and Miles) had done worse than kill Pete; they had turned him out to go wild … to wandering back alleys in search of scraps, while his ribs grew thin and his sweet pixie nature warped into distrust of all two-legged beasts”
alley アれイ 小道
pixie ピクシー 小妖精 level 17 (ポケモンにもでてきます(Pixy)が、もとはイギリス(ケルト人)の妖精です)
distrust of all two-legged beasts すべての二本足の野獣(=人間)に対する不信
“For I was in a delighted daze … it was Flexible Frank! … But a man knows his own work. I had set the basic pattern and this was the necessary evolution… “
“I made a note to track down Ricky first thing, top priority. She was all that was left to me of the world and she loomed very large in my mind. Dear little Ricky!”
loom (心配などが)おおきく立ちはだかる 人が主語になるのは珍しいと思います。
The worry loomed large in our minds. 他にも ぼんやり現れる、織機 の意味があります。
Ricky は Milesの親戚、猫のPeteをかわいがっていた少女で、この話の準主人公です。