フッ素化合物の用途はテフロン、冷媒、製薬などいろいろあります。これらはHFから合成されていると思います。フッ素ガスを使わなければならないのはウランの同位体分離のために気体のUF6を作る用途や、MEMSを作る試薬のXeF2の合成(シリコンを高速で気化させる気体 2XeF2+Si→SiF4 + 2Xe)、さらに紫外のArFレーザーやKrFレーザー(半導体露光やパルスレーザー蒸着(PLD)のエキシマレーザー)を思いつきます。
用途の割合は下記が詳しいです。フッ素ガスは全フッ素製品の2%ですね。フルオロカーボンが42%でそのうち16%がポリマーです。蛍石の用途としてHFを経由して氷晶石(アルミ電解精錬用)になる割合が16%というのは面白いです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Fluorochemical_industry
テフロン(poly tetrafluoroethylene; PTFE)がどうやって合成されているかはwikipediaや下記に詳しいです。
テフロンは年間200,000トンが合成されているそうです。テフロン誕生は1938年で、新しい冷媒を作ろうとしていたR. PlunkettというDuPont(デュポン)社の研究者が偶然白い塊を得たのが最初です。テフロンはThe Chemours Company (ケマーズ DuPontが分社した化学品の新会社)の商標で、一般名詞はPTFEです。
https://kyodonewsprwire.jp/release/201507021649
テフロンはテトラフルオロエチレン(TFE)の重合で作られますが、テトラフルオロエチレンは、クロロホルム(CHCl3)とHFと蛍石(CaF2)を高温にすることでできます。ただし爆発性で輸送が難しいのでテフロンを作る工場で合成され、冷却保存されるようです。
TFE→PTFEの重合はラジカル重合だそうです。製法の詳細は秘密とのことですが、固体の粒を作る方法と、溶液中に分散させて重合する方法があるそうです。固体の粒のほうは温度むらがあると爆発的な副反応が起こるので温度制御にコツが必要とのこと。分散させるほうは、HF水溶液中にフッ素系の界面活性剤を使ってモノマーを分散させるそうですが、フッ素系の界面活性剤は環境に蓄積され問題視されています。PFOA(C7F15COOH; フッ化アルキルのカルボン酸)は発がん性の可能性で米国で3億ドルの住民訴訟、もう一つ(PFOS;C8F17SO3H; フッ化アルキルのスルホン酸)は3Mのスコッチガードなどに使われていましたが、胎児毒性などにより2000年に製造中止(中国では生産継続)、2019年に殺虫剤用途のみに限定。現在は違う界面活性剤が開発されているようですが、やはり環境毒性が問題になっています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Perfluorooctanesulfonic_acid
英語は上記から単語を拾います。
percentage パー「セ」ンテージ パーセント値
percentile パー「セ」ンタイる 計測値を小さい値から大きい値に並び替えて順番をパーセント表示したもの https://www.pfa.or.jp/yogoshu/ha/ha17.html
excimer エキ「サ」イマー 励起状態でのみ形成される分子 例 Ar-Fなど。
fluorspar 蛍石 = fluorite
cryolite 氷晶石 Na3AlF6 氷に外観が似ていることから命名。「クラ」イオらイト
cryo 低温の クライオ cryopump クライオポンプ 冷凍機で気体分子を吸着する真空ポンプ cryosleep 冷凍睡眠
fetal toxicity; embryotoxicity 胎児毒性、胚毒性 fetal フィータる 胎児の、embryo 「エ」ンブリオ =胚
toxicity トキ「スィ」スィティ 毒性 toxic トキスィック 独の
heritage 「ヘ」リテージ 遺産
legacy 「れ」ガシー 伝統、遺産、旧式だが広く使われていて代替不可能なソフト・ハードウェア denoting or relating to software or hardware that has been superseded but is difficult to replace because of its wide use
supersede スーパー「スィ」ード 新しいものがとって代わる level 11
deep chemistry expertise 化学の深い専門性 「エ」クスパタイズ
streamlined 流線形の、最新式の、能率化した Chemours社の社長が上場に際して決意を語っています。ということは、分社化前は非能率だったということ?