The Door into Summer(2)因果律のパラドックス

金曜日の読書はタイムマシンSFの古典である”The Door into Summer”(夏への扉)の2回目ですが、筋に興味がある人は短いので自分で読んでいただくとして、時間について考えていきたいと思います。英語は章ごとに勉強になりそうなところを抜き出していきます。
この話は、だまされた主人公が冷凍冬眠で30年後の未来で蘇生する、という方法で未来に行きます。そこでちょうど発明されたタイムマシンの発明者を味方につけて30年前に戻り過去を書き換えて、それから30年後に戻って幸せになるという物語で、時間の流れが1回ループしています。容易に想像できますが、タイムマシンはパラドックスを内在しており、例えば過去に戻って自分の祖先を殺してしまったら自分は消滅し、そうすると自分の祖先は復活するのでまた自分も復活する、という論理で「嘘つきパラドックス(「私は嘘つきである」という主張が真か否か)」のような矛盾が生じます。現在のSFでのコンセンサスは、歴史は多重であり、その時々の行動で世界が分岐していくというものだと思います。「それはどの世界線の話ですか」、など現代では通常の言葉として使われますね。その場合は、自分の祖先を殺してしまったらその世界線がそこで終了するということで矛盾が解消されます。哲学的にはそれでいいですが、技術的にはタイムマシンの作り方は全く分かっていないと思います。
ちょっと古いですが、Scientific Americanに”worm hole”を使ったタイムマシンの解説がありました。「どこでもドア」は相対論の光円錐(light cone)を考えるとタイムマシンと言える、ということだと思います。
https://www.scientificamerican.com/article/how-to-build-a-time-machine-2006-02/

causality コー「ザ」りティ 因果律
the causality paradox 因果律の矛盾
causal loop 因果のループ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%A0%E6%9E%9C%E3%81%AE%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97
world line 世界線 We have come to a wrong world line. 間違った世界線に来てしまった。

英語は、The Door into Summer 第1章から(全12章です)。
“One winter shortly before the Six Weeks War, my tomcat, Petronius the Arbiter,and I lived in an old farmhouse in Connecticut.”
the Six Weeks War: 六週間戦争 この世界線では1970年に短い核戦争が起こっています。
tomcat 雄猫 level 15 cf. she-cat 雌猫
Petronius the Arbiter ペトロニウス護民官(猫の名前、愛称Pete)
“The lack of plumbing made the rent low and what had been the dining room had a good north light for my drafting board.”
plumbing 配管 プ「ら」ンビング
drafting board 製図板     さすがにうまい書き出しで、主人公が技術者であることがわかります。
whisker ウィスカー 猫のひげ、鉄等の1次元単結晶
“Pete usually used his own door except when he could bully me into opening a people door for him, which he preferred.”
bully ブりー は「いじめる」が第一候補ですが、ここは「無理強(むりじ)いする」でしょう。
“…that winter Pete would check his own door, refuse to go out of it because of that unpleasant white stuff beyond it (he was no fool), then badger me to open a people door.”
would は過去の常習行動であることを表しています
badger  バッジャー アナグマ level 10 ですが、動詞で「悩ませて、せがんで、~させる」という意味があります。
“… there was nothing wrong that aslight case of amnesia would not have cured. But there was winter in my heart and I was looking for the Door into Summer.”
amnesia アム「ネ」ージア 記憶喪失(症) level 12

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