金曜日の読書は今週からF.W.NietzscheのAlso Sprach Zarathustra (Thus spake Zarathustra, ツァラトゥストラかく語りき)を読んでいこうと思います。この本は私が大学に入って乱読しているときにぶつかって大きな衝撃を受けました。原書を読みたくてドイツ語を独学で勉強しようとしたくらいです。コロナ前に韓国での学会に呼ばれた帰りにソウル大の知り合いを訪ねたら、書類が山積みになっている部屋の机の上にこの本があり、「若いころに読んだけどまた読み返しているんだ」とのことでした。この先生とは話が合うと思っていました。いま読み直すと確かに若い時に気付かなかったところが見えますね。
ニーチェは1844年生まれ、24歳でスイス・バーゼル大の古典文献学の教授になった神童です。健康悪化のため1879年に大学を引退し著述生活に入ります。失恋や人間関係のトラブルなどを経て1883-88年ころにZarathustraを含む多数の著作を残しましたが、1889年にいわゆる発狂、精神が崩壊したまま1900年に死去しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7
健康悪化は脳を攻撃する慢性の感染症によるものとされています(私が学生のころの都市伝説は、この病気は壊れる前に一瞬天才になるというもので、例もニーチェをはじめ何人か挙げられていました。私たちは本当に生意気でした…。年をとると先生たちの気持ちがわかります)。この感染症は現在では抗生物質が効くそうですが、最近世界的に(日本でも)増えているそうです。
今調べたら、精神崩壊の原因はこの病気ではなく特殊な脳腫瘍ではないかという説も話題になっているようです。
https://www.leonardsax.com/Nietzsche.pdf
若い時、ドイツから来たポスドクにニーチェは本国ではどういう扱いか、と聞いたら、ナチスの背景になった思想として全く人気がない、学校でも習わない、との話でした。確かに優生思想の片鱗を述べた著作もあり影響は否定できませんが、Zarathusutraにはそのような記述はなく、知的生命体のもっと深い問題をついていると考えます。ニーチェの著作の中でも独特な物語形式で、イメージを強く喚起する力がある文章です。ニーチェは仏教も勉強していたようで、法華経などのビジュアルに訴える文章に通じるところがあります(メッセージは全く異なりますが)。
Zarathustraは4部からなっています。それぞれ10日で完成させたと書いた著作があり、「耳元で文章が大声で聞こえた」とのことです。「悩みぬいて答が降りてきた」のだと思いますが、脳への負荷は確かに大変なものがあったでしょう。
英語は上記から。
infectious disease, infection イン「フェ」クシャス 感染症
contagious コン「テ」イジャス 感染性の、伝搬性の
syphils 「スィ」フィリス 梅毒
rude ルード 無礼な
saucy ソウスィー 生意気な、ずうずうしい
sauce ソース(料理にかける)
impertinentイン「パー」ティネント 生意気な
genius 「ジ」ーニアス 天才
prodigy 天才、偉業、神童 infant prodigy
the gifted ギフテッド 神童
madness 狂気
urban legend 「ア」ーバン 都市伝説
eugenics ユー「ジェ」ニックス 優生学、優生思想
buddism 仏教
classical bibliography 古典文献学
答が降りてくる The answer is coming down. (DeepL)