接着におけるプライマーの役割

難接着性プラスチックの接着に使う下塗り剤「プライマー primer」については情報が少ないですが、いくつか特許を見つけました。Loctite社(現 独Henkel傘下)がポリオレフィンやフッ素樹脂に対して有効と主張しているものです。
https://patents.google.com/patent/EP0476203A1/en
これは1997年出願で、中心となるのは(CnHm)2-N-(CnHm)-N-(CnHm)2 の形のアミンおよびその誘導体です。P(CnHm)3の形の分子の特許も引用されています。アミンやフォスフィンが有効な理由はよくわかりません。アルキル部分が接着対象のポリマーに絡んで表面にNが出て電荷か化学結合でつなぐのでしょうか。分子動力学計算が面白いかもしれません。
さらに古いですが、日本の東亜合成の特開平02-117968は、金属(マンガン、ニッケル、ジルコニウムなど)を含む有機化合物(Zr (acac)4)などを請求しています。
確かに金属イオンが有機官能基を付けたままポリマーに侵入していけば、接着剤と反応できそうですね。接着剤としてはだいたいシアノアクリレート系 >C=C(CN)(=O)OR が使われているようです。シアノアクリレートは瞬間接着剤の成分で、水と反応して重合します。
https://chem-labo.com/polymers-around-us/instant-glue/
これらはすでに特許が切れています。プライマーの成分はSDS(安全情報の書類)にも書いてありません。が、低分子の液体混合物なので、ちゃんと分析すればわかってしまうと思います。あまり値段を吊り上げるわけにはいかないですね。

英語は https://www.henkel.com/spotlight/2020-07-08-the-loctite-story-1100296 から。
https://www.youtube.com/watch?v=NslOFe5ERmg

anaerobic アネロビック 嫌気的な level 12
aerobic エアロビック 好気的な level 9
“What they were proposing to engineers came close to heresy” 彼らが技術者に提案していたものはほとんど異端だった
heresy 異教、異端、異説 level 11 「ヘ」レスィ 
“Thriving on mission impossible” 不可能な任務で繫栄している、はきれいな日本語ではないですね。どう訳しましょうか。DeepLもお手上げのようです。
thrive すライヴ 繁盛している
“Their underlying commitment is fierce” 根底にあるのは激しいこだわりです(DeepL訳)
絡む(からむ) 高分子が絡む場合は下記でしょう。
get caught in
become tangled/entangled in/with
be entwinned with
値段を吊り上げる raise/boost/inflate/force up the price
相場を吊り上げる rig the market
rig = to dishonestly arrange the result of an election or competition before it happens 不正に選挙や競争の結果を事前に操作すること。八百長(やおちょう)をすること・
rig prices 価格談合する
rig は名詞で 船の索具(帆などを操作する綱など)、艤装(ぎそう)、またそれを装備するという動詞があり、そこから「不正に操作する」という意味が派生したのではないか?と思ったのですが、下記によれば、同じスペリングの別の言葉と考えられているようです。
https://www.etymonline.com/word/rig

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