今週の世界の研究所は、中国の工作機械メーカー 北京精彫集団(彫の漢字はつくりが隹)を取り上げます。
https://www.jingdiao.com/
https://us.jingdiao.com/machines/home
先週、日経系のメディアを中心にニュースになっていました。ミクロンレベルの精度での3次元加工、平滑性はさらに下のナノレベルに達する機械加工を行うマシニングセンターを日本メーカーの半分の価格で売り始めたということです。加工例は下記。時間は1日以上かかっていますが、ピカピカの曲面が得られています。人力では桁違いの時間と職人芸が必要でしょう。
工作機械は日本が非常に強い分野で、オークマ、DMG森精機、ヤマザキマザックなどが有名ですが、同社は超精密加工に特化して市場に楔(くさび)を入れに来たといえるでしょう。amazonで売っている「おもちゃ」のアイデアや技術レベルがここ数年急上昇してきたため、すそ野の技術レベルは明らかに上がっています。当然トップの技術も上がっているはずで、来たるべきものが来つつあると感じます。高精度の加工装置は、半導体切断装置(ディスコなど)や工作ロボット(FANAC、安川電機など)にも技術的に近いので、価格が半分になったら、高い利益率(と社員の給料)を誇る関連分野にとってはたいへんです。今週は、精密加工の要素技術について考えてみましょう。現時点での想像では、部品の精度は少し甘くして、ソフトウェアによる制御を工夫して精度を高めれば価格が抑えられるのではないかと思います。ナノレベルの加工が必要な用途がどれだけあるかはわかりませんが、微小ロボットや脳のシナプス一つ一つを探してつながる電極など、SFの世界が近づいたかもしれません。私のような原子から考える材料物性屋としてはますます面白くなってきます。
英語は 精密加工 関連です。
precision machining 精密加工 マ「シ」ーンニング
precision 精度 プレ「シ」ジョン
jig 工具の位置合わせ・案内機構のこと。昔の日本人は「治具(じぐ)」とうまく訳しました。
grinding 研削 グ「ラ」インディング
https://www.goodwin.edu/enews/what-is-precision-machining から
“Precision machining is a process that removes excess, raw material from a work-piece, while holding close tolerance finishes, to create a finished product. Simply put, it means shaping large pieces of material into more precise parts, so that they can meet very exact specifications. ”
remove リ「ム」ーヴ 除去する
excess イク「セ」ス 過剰な
raw material 素材
work-piece 工作物
tolerance 許容範囲 「ト」れランス
fault-tolerant = fool-proof 失敗しても大丈夫な仕掛けの
finishes 仕上げ
exact 正確な “Exactly.”は その通り、と同意するときに使います。 “PhD course is wonderful. We can enjoy higher freedom in our carrier paths with phD.” “Exactly!” 「博士課程は素晴らしい。博士号があればキャリアパスがもっと自由になる。」 「その通り!」