アルツハイマー、レビー小体型認知症、ALS(筋無力性側索硬化症)等のいわゆる神経難病のうち少なくともいくつかはタンパク質の異常な折り畳み(folding)の変化とそれに伴う異常な集合体形成が神経細胞を壊すためではないかという説があり(先週と今週紹介した研究所)、アルツハイマーについては、関与するタンパク質は説が分かれていますが、定説となっているように見えます。神経細胞は壊れると再生が困難なため(最近、不可能ではないことが発見されています)、重大な機能障害を招いてしまいます。
それなら問題となっているタンパク質の異常な集合体を除去するように免疫を使えばいいのではないか、という発想で、ワクチンそして抗体医薬が開発されました。
https://toyokeizai.net/articles/-/396670
上記はドラマチックな話なのですが、日本では薬としての承認はされずに審査継続となり、米国では承認されたものの普及はしていないとのことです。これが昨年末の状態でしたが、1か月前に、別の抗体医薬に有効性があることが報告されました。
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220929b.html
困難ですが、進歩しているようですね。webでは懐疑的な意見が散見されますが、関係者の努力に頭が下がります。
※ マブ -mab という語尾がついている薬は抗体医薬です。薬の商品名は別につきます。巨大なので分子式では書けないのだと思います。抗体は遺伝子工学で同じものを大量生産するので、コードする遺伝子で記述するのかな?と思いますが調べても出てきません。命名は機能と関与する生物等から機械的につくようです。昨年命名法が変わって、「マブ」がtug, bart, mig, mentに分かれるようです。医療関係者は記憶力を要求されますね。
https://yakuyomi.jp/manner_technique/etc88/
抗体 antibody level 8
抗原 antigen level 11
記憶力 memory, memorial power
mneme (英語ではニーミー と発音) ギリシャ神話の記憶の女神(ムネメ)、記憶能 の意味で使うことがある
Age dims our memory. / Our memory deteriorates with age. 年を取ると記憶力が鈍る。
dim かすませる、形容詞で かすんだ、おぼろげな level 4
blur かすませる、名詞で かすんで見えるもの、ぼんやりした思い出 level 8
deteriorate デ「テ」リオレイト 劣化させる
recollection 回想、追憶、回顧録、記憶力 level 6
remembrance 記憶、追憶、覚えていること、記念品 level 6
recognistion 認識、見知っていること、承認 level 3
a desire for recognition from others 他者からの承認欲求
reminiscence 回想、追憶、思い出 level 10
retention 保持、保留、記憶
retention time in chromatography クロマトグラフィの保持時間
retrospection 回顧、追想 retro =後ろ、昔 spect =見る ラテン語から
hindsight 後知恵 「ハ」インドサイト level 12 = 後ろ 見る ラテン語→ドイツ語→英語
※ 似た意味の語源なのに、全く意味が変わるのが面白いです。