X線を集光するキャピラリー集合体の発明

シンクロトロン放射光の歴史は下記にまとまっています。電子を加速して衝突させる実験のためのシンクロトロン(円軌道で電子が周回)で消費エネルギーが大きすぎる原因を1944-46年に調べていたGE(General Electric社)の技術者たちが、理論家Schwinger(1965年に朝永、ファインマンとともにノーベル賞受賞)が予言した相対論的な速度を持つ荷電粒子が曲がるときの発光との関連に気づき、シンクロトロン放射光を発見しました。
https://xdb.lbl.gov/Section2/Sec_2-2.html
Archimedes Palimpsestの解読に使われたスタンフォード大学のSLAC-SPARKはX線を出すシンクロトロンの最初の施設のようです。
さて、X線は物質を透過するためレンズが作れません。レンズが作れない赤外線や電波で使われる凹面鏡も反射せず透過してしまいます。一つの方法は、物質表面へのすれすれ入射による全反射を使います。X線は、物質の原子の内殻励起より高いエネルギーを持つ場合、屈折率が1よりわずかに小さくなります。すると、真空側から物質側に入るときの全反射角が1度程度になります。表面が少し曲がっていると、全反射によって角度を少し変えることができます。これを利用してガラスの細いチューブをうまく曲げて束ねるとX線のビームを収束させることができます。これは1990年ころに発明され、高級なX線回折装置(特に単結晶用で小さい領域に照射する場合)には入っています。私はそのころ学生で、論文を見て興奮したのを覚えています。今調べたら、アイデアの源流はSov. Phys. Usp. 32, 271(1989)で、ソ連ですね。専業の会社が米国にあります。

上記youtubeの会社は1990年設立なので、発明直後に作られていますね。まだ続いているのはいいですね。
https://www.xos.com/History-Innovation

凹面鏡 concave mirror
凸面鏡 convex mirror
凸レンズ convex lens
透過 transmission
侵入 penetrate 「ペ」ネトレイト
全反射 total reflection
屈折 refraction
屈折率 refractive index
収束 convergence でもいいですが、光線の場合はcollimatingがよく使われると思います。

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