世界の研究所 Archimedes Palimpsest Project と米国 SLAC (Stanford Linear Accelerator Center)

今週の世界の研究所は、Archimedes Palimpsest Project とスタンフォード大学にある国立加速器施設SLACです。Archimedes…は研究所ではなく、先週金曜日にとりあげたアルキメデスの、1907年に見つかった著作をデジタル化して解読するプロジェクト(1998年に落札した正体不明のIT長者による。1999-2008、すでに終了)です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%97%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%83%88
palimpsestパリンプセスト、とは、羊皮紙に書かれた本を上書きして別の本にすることで、アラビアから10世紀にヨーロッパに伝わったアルキメデスの写本もその憂き目にあいました。wikipediaによればしばしば行われていたようで、「貧すれば鈍す」の悲しい例かもしれません。
https://en.wikipedia.org/wiki/Palimpsest
アルキメデスの墓には、同じ高さと円の半径を持つ円錐と球と円柱が書かれていたと伝わっており、これはアルキメデスがその体積が1:2:3であることを発見してそのように遺言したと言われています(かっこいいですね!)。当然積分を使っているはずですが、その思考過程は詳しくわかっていませんでした。このパリンプセストに書かれていたそうです。生データは下記にあるようですが、手書きのギリシャ語の画像を見てもしかたないです。
https://openn.library.upenn.edu/Data/0014/ArchimedesPalimpsest/
英訳はアマゾンで売っています(…が高いです)。なぜか大学の文学部図書館にありました。ありがたいですね。おそらく当時話題になったのでしょう(借りても読む時間はなさそうですが…)。

話を戻すと、一部のページは絵で塗りつぶされて可視光付近の波長では読めなくなっていたため(おそらく絵の具の成分のせいでしょう)、SLACのシンクロトロン放射光を用いたX線顕微鏡が使われました。
https://www6.slac.stanford.edu/
今週はこの測定の詳細とX線顕微鏡技術の最新状況を紹介したいと思います。

palimpsest 「パ」りンプセスト
parchment 羊皮紙
“Because parchment prepared from animal hides is far more durable than paper or papyrus, most palimpsests known to modern scholars are parchment, which rose in popularity in Western Europe after the 6th century.”
animal hide 動物の皮 hide は「隠れる」ではなく、ドイツ語”Haut”がなまったもの。
camouflage – animal hide & seek 擬態 – 動物のかくれんぼ 「キャ」モフらージュ

see anemone イソギンチャク
invisibility cloak 透明マント、隠れ蓑
durable 長持ちする < duration 持続時間 デュレーション
papyrus パピルス
lend oneself to ~ に適する。 This setup does not lend itself to the synthesis of molecule A. この装置は分子Aの合成には適していない。

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