今週の「君主論」は、第6章「自分の手勢で勇敢に獲得した支配権」です。いろいろな例が出てきます。歴史上の例を挙げて「自力がないと国の支配権を新しく得たり維持したりすることはできない」ことを論証していますが、名前だけあがっている例がどれも「濃い」のでこの本が「難解」との評はわかります。また、例をつなぐ一つ一つの文がそのまま警句としても成立します。おもしろかったのは
「賢人は過去の優れた人たちを見習うべきである。その理由は、弓の達人が、遠くて届かない的を射るときに的の高さよりもはるかに上を狙うのと同じである」
「人間はなにか的確な実験によって納得しないと新しい制度を信用しない」
武力を持たなかったために支配権を維持できなかった例として、同時代人・サヴォナローラ(1452-1497)の例が出てきます。高校で名前だけ習いました。印刷術の発展で著書が人気となり権力を得ましたが、教皇を批判した結果、最後は市民による火刑です。すごい時代ですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%AD%E3%83%A9%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%8A%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9
逆に、支配権を得てから軍隊・警察組織を再編して成功した例としてシチリア島のヒエローン2世(BC308-215 長生きですね)の例が挙げられています。この人はアルキメデスが比重を測った王冠の発注者として有名です。シチリア島は当時ローマとカルタゴの間で防衛に苦労しましたが、アルキメデス発明の造船設備や兵器が使われたことが伝えられています。アルキメデスの伝記は子供の時に読みましたが、地面に書いて計算しているところを邪魔したローマ人兵士に反抗して殺されたという描写を覚えています。「私の円を壊すな!」が最後の言葉だそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%83%B32%E4%B8%96
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%B9
Punic War ポエニ戦争 (ローマとカルタゴ(現チュニジア)の地中海覇権争い)
punic ピューニック カルタゴの、信義のない level 25
“He(Savonarola) was known for his prophecies of civic glory, the destruction of secular art and culture, and his calls for Christian renewal. He denounced clerical corruption, despotic rule, and the exploitation of the poor. ” (Wikipedia)
prophecies 予言(複数) プ「ロ」フェスィーズ
civic glory 市民の栄光
secular art 世俗的な芸術 secular equation 永年方程式
denounce 非難する デ「ナ」ウンス
clerical corruption 聖職者の腐敗 ク「ラー」リカる
despotic rule 専制的な支配 デスポティック
exploitation of the poor 貧者の搾取 エクスプろイテイション
bonfire of he vanities 虚栄の償却