今日は「今日の英語」第500回です。祝日ですが、早くやりたくて勇み足をしてしまいました。2020年の4月20日に第1回をやっていますので、ほぼ2年たちました。
金曜日の読書のJusticeは第9章と10章です。
9章(JUSTICE AND THE COMMON GOOD / DILLEMMA OF LOYALTY)は要約すると、共同体の過去の不正義に対する謝罪(日本もドイツと比較され、例にあがっています)→物語を生きる存在である人間とその共有に必要な歴史と共同体(愛郷心、愛国心、家族愛などの正当化)→正義は結局共同体の文化的背景にも関係するので普遍性はない。特に「善」を「正義」の基準にしてはうまくいかず、必ず利害の調整の要素がある。
10章(JUSTICE AND THE COMMON GOOD)は、宗教・道徳(正義の議論)・政治のあるべき関係を論じています。米国ではキリスト教保守派の要素を濃く持つ共和党とリベラルと言われる民主党の二大政党が政権を争いますが、リベラルだけでは共同体を維持できない、(この本の出版時の)オバマ大統領は道徳の要素をうまく政治に結合させている、と論じています。さらに、市場の影響力で増大する経済的不平等をみんなが使える社会資本を作って緩和して連帯を維持すること、同胞が公共生活に持ち込む道徳的・宗教的信念を避けるのではなく、もっとお互いに議論し政治は道徳に関与すべきであること、が重要であると結んでいます。
読後感としては、例は刺激的で、個々の文・段落レベルではよく考えられた文章でしたが、納得できない議論もありました。もとが講義だから議論する穴を作ってあるのかもしれませんし、もともと全員を説得するのは無理なのかもしれません。昔わからなかったカントが分かりやすく説明されてありがたかったです。アメリカ社会の理解も深まりました。
来週は3,4,5日は「今日の英語」休みます。次の金曜日の読書は「墨子」かマキャベリ「君主論」が候補で、再来週開始の予定です。
“Too great a gap between rich and poor undermines the solidarity that democratic citizenship requires.” 貧富の格差が激しくなりすぎると民主的な市民政治に必要な連帯感が損なわれる。
undermine (ひそかに)損なう アンダー「マ」イン 前にアクセントがある表記もありました。
solidarity 連帯 ソり「ダ」リティ
the erosion of the public realm 公共性の喪失 エ「ロ」ウジョン(=浸食) 「レ」るム(=王国、範囲、領域)
autonomy 自律、自治 オー「ト」ノミ
same-sex marriage 同性婚
“Obama’s claim that progressives should embrace a more capacious, faith-friendly form of public reason reflects a sound political instinct.” オバマによると、進歩派はより広範で信仰に優しい公共の理性を擁護しなければならないが、その主張は健全な政治的直感を反映している。
progressives 進歩派
capacious 広範な
faith-friendly form 信仰に優しい
sound 健全な
public reason 公共の理性
instinct 「イ」ンスティンクト 直感