今週のJusticeは、第8章”Who deserves What? / Aristotle”です。古代ギリシャのアリストテレスの正義論を論じます。古代の議論がなぜ8章に置かれているかは、まだわかりません。緻密に構成されていると思うので、意味があるはずです。さて、この章ではリバタリアン(自由至上主義者)が「選択の自由」を、ロールズが「公正」を正義の条件として重視したのに対し、「名誉や報酬を受け取るのにふさわしい人か?」という観点を重視するアリストテレスの主張を論じています。最高級の楽器を与えらえるべき人は、最もうまく演奏できる人である、というのは確かに正義の感覚の一部でしょう。ただし、それを突き詰めていくと難しい問題が出てきます。大学のテニスコートの良い方をを使うべき人は上手な大学生か下手な学長か?という問題、さらに例として、足が悪いプロゴルファーがカートに乗ってよいか、という裁判(多くのプロゴルファーは反対した)が取り上げられています。ゴルフはボールを打つだけでいいのか、歩くのはその重要な要素でないのか、という議論です。アリストテレスは、正義は考えている社会的営みの「目的因」(目的、最終目標、本質)および「名誉」から考える必要があると言っています。ゴルファーが歩くのはスポーツとしてのゴルフの「目的」「名誉」に関わるので、この裁判はアリストテレスの議論をどうするかに帰着します。この本は裁判の判例が題材として使われることが多いです。「正義」の実例は裁判で、この本は判例を哲学的に分析する仕事をしているのだとわかります。いい着眼点だと思います。
Aristotle アリストテレス(384-322 BC) 「ア」リストートる
splits and tumbles 開脚と宙返り
fairness 公正
resentment 反感
“In choosing its cheerleaders, the high school not only promotes school spirit but also makes a statement about the qualities it hopes students will admire and emulate.” チアリーダーを選ぶ際、高校は愛校心の発揮を求めるだけでなく、生徒たちが賞賛し手本とすべき資質についても述べることになる。
“For Aristotle, justice mans giving people what they deserve, giving each person his or her due.”
due ここでは、「ふさわしいもの」 他の意味:(形容詞)支払期限がきた、正当な (名詞)dues で使用料 level 2ですがいろいろな意味があります。
“Aristotle criticizes what he takes to be the two major claimants to political authority — oligarchs and democrats.”
オリガルヒ はロシアの新興財閥を指す言葉になっていますが、元はギリシャ語(oligo少数の + arch 治)で、英語の発音は「オ」りガーク ですね。「寡頭制支持者」と訳されています。
“We become temperate by doing temperate acts, brave by doing brave acts.” 節度ある行動をすることで節度を身に着け、勇敢な行動をすることで勇敢になる。
temperate = calm and sensible (behavior) 穏やかで思慮に富んだ(ふるまい)