今週のJusticeは、第5章”What matters is the motive / Immanuel Kant”です。功利主義を徹底的に嫌ったカントの主張を解説しています。カントは、ケーニヒスベルグ(現:ロシアの飛び地カリーニングラード)で活動した哲学者(1724-1804)で、功利主義のベンサムと同時代です。大学に入ったころ、背伸びしてカントを読もうとしましたが難しくて挫折しました。この章の解説はわかりやすいです。私なりに単純化すると、(1)自分と他者の区別なく、理性的存在を無条件に尊重する姿勢から正しい道徳が生まれる、(2)結果consequenceではなく、原則 principleが重要 (3)嘘は理性を尊重する立場から原理的に不可だが、誤解を招く真実をいうのは許される、です。
(1)によって、通常「悪」とされる行為はほぼ不可になります。自分を自分が所有しているのだから自分をどう扱ってもよい、というリバタリアンの考えも不可になり、例えば自殺やドラッグ等も不可です。(3)は、友人が殺人者に追われていて自分の家にかくまったところ、殺人者が来た時どう答えるか:「ここにはいない」は不可で、「一時間前に○○で彼を見た人がいる」は可、だそうです。屁理屈のようですが、見る人が見れば何が真実かわかるからOK、だそうです。学術論文を書くときもよく似た道徳律があります。カント由来なのかもしれませんね。
“Kant’s philosophy is hard going. But don’t let that scare you away. It is worth the effort, because the stakes are enormous”
カントの哲学は難解だが、恐れをなしてしまうのはもったいない。得られるものは莫大なので、努力に値する。
enormous エ「ナー」マス 莫大な
stake ス「テ」イク は難語です。「くい」、「火あぶりの刑(くいをつかったから)」「賞金」「掛け金」動詞もあります。「掛ける」「金品や食事を提供する」 level 4
My life was at stake. 死活問題だった。
The fate of the country is at stake. 国家の一大事だ。
stakeholder ステークホルダー、利害関係者
ステーキ は steak 発音は同じですが違う言葉です
“Daunting though Kant’s philosophy may seem at first glance, it actually informs much contemporary thinking about morality and politics, even if we are unaware of.”
daunting ドーンティング げんなりさせる ひるませる daunting task 気が滅入る仕事 level 12
actually 実際のところ
contemporary コン「テ」ンポらリ 現代の
morality 道徳律
be unaware of 気づかない “of”がつけられるように語感を磨いてください。
dignity 「ディ」グニティ 尊厳
altruist 「ア」るトルイスト 利他主義者
altruism 「ア」るトルイズム 利他主義 level 11
Implausible though Kant’s claim may seem, … カントの主張は屁理屈のように見えるが、…
implausible 信じがたい、本当らしくない level 12 <-> plausible ありそうな プ「ろ」ーズィブる