高エネルギー粒子線はターゲットの内部深くで働く

800MeVに加速した炭素イオンの速度は光速の84%だそうです。生体深さ30cmまで侵入して破壊するそうですが、重粒子線の速度と散乱断面積の関係が気になりますね。
下記論文が最近のレビューで、Figure 1 に深さと与えるエネルギーの模式図が書いてあります。表層が0というわけではないですが、確かに深いところにピークがあります。陽子線に比べてピークが鋭いので、有効性は高そうです。このピークをブラッグピークというそうです。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fonc.2020.00082/full
その理由は、おそらく高速イオンによる標的(生体)中の原子の周りの電子の散乱でしょう。ボルン近似によれば励起に必要なエネルギーの数倍の運動エネルギーを持つ粒子が散乱断面積が高くなるとので、深い内殻電子まで考えると数10keVのところに相互作用が大きくなるのピークがあり、そこまで減速することによって破壊する作用が大きくなるのでしょう。下記スライドが計算と実験です。
https://slidetodoc.com/ionization-cross-sections-for-ionatom-collisions-in-high/
重粒子のほうがピークが鋭くなるのは、イオンが多価で、停止前の破壊力が大きいことが関係しているのではないか?と思います。そのものズバリの資料は見つかりませんでしたので、時間があるときに計算してみたいです。原子核同士のラザフォード散乱の寄与は重粒子のほうが大きいと思いますが、電子を励起して化学結合を切る寄与のほうが桁で大きいと直感的には思います。

英語は 衝突断面積の単位 barn = 10^-28 m2 の関係から
https://en.wikipedia.org/wiki/Barn_(unit)
“During Manhattan Project research on the atomic bomb during World War II, … Initially they hoped the name would obscure any reference to the study of nuclear structure; eventually, the word became a standard unit in nuclear and particle physics.”
barn 牛小屋、納屋 
obscure オブス「キュ」ア あいまいにする、ぼかす
meadow 「メ」ドウ 牧草地、川辺の草地 level 4
ranch リャンチ 大牧場、農場 level 4
pasture 牧草(地) level 4
paddock 馬の小牧場、競馬のパドック
lean 動詞 身体を曲げる、もたれかかる 形容詞 やせた、脂肪のない赤身の(肉が)、名詞 偏り
plain 明白な、平坦な、質素な、 名詞で 平原(plains)
plane 飛行機、平面、結晶面、水準、かんな(大工道具)
※同音異義語で、間違えやすいので注意。
prairie プレーリー

Leave a Comment

Comments

No comments yet. Why don’t you start the discussion?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA