巨大コンテナ船により、港の様子はすっかり変わりました。コンテナ1個の太平洋横断に手続きを入れて15日,運賃18万円くらいかかるようです。
横浜-Los Angeles 8829km÷44km/h(高速コンテナ船速度)=200時間=8.4日ですから、積み下ろし・通関に数日ずつかかるのでしょうね。
これを20000個積むと、運賃関係が360億円になるので、座礁したエヴァーギヴンへの請求額が1000億円、一時期は数兆円と言われていたのもおかしな桁ではないですね。
世界にいくつかのハブ港ができて、そこからより小さい船で各地に運びます。ハブ港の地位を得るかどうかで港の収益は大きく変わりますが、大型船のための深い港や自動化した積み下ろし装置が必要で、投資額が過大になります。港を抱える自治体は投資をするかどうかの決断が難しく、失敗して大赤字になった例も多数あります。日本の港はハブ港の下くらいの位置づけになっています。世界一は上海(洋山深水港)、次がシンガポール、中国がいくつか、プサン、ロッテルダム(オランダ)、ドバイ、・・・と続きます。日本最高の東京港は39位で、順位は毎年下がっています。コンテナで運ぶ小物の工業生産の量(かさ)が減っているということでしょう。シンガポールとドバイは初期投資に成功した例ですね。
https://www.aapa-ports.org/unifying/content.aspx?ItemNumber=21048
https://www.phaj.or.jp/distribution/earth/top100.html 港湾政策研究所、というのもあるのですね。
コンテナには国際的に統一された識別番号がついていて、ガントリー クレーン gantry craneという門型の足がついた巨大クレーンと、無人搬送車(AGV automatic guided vehicle)の組み合わせで自動化され、人間は離れたところでジョイスティックで微調整をするゲームのような仕事になっているそうです。現場の音(コンテナがぶつかる)を聞きながら作業する必要がある、というのが面白いです。
https://dax-pros.com/container-number.html コンテナ識別番号の解説(この会社は中古コンテナを売っています。値段は問い合わせとのこと)
港湾の運営は、段取りの塊のような仕事で、シンガポールなどはノウハウを売る会社(PSA社)を作っています。日本の商社も参入を試みている、と「コンテナ物語 2019改訂版」の解説に書いてありました。
https://www.globalpsa.com/
20ftコンテナ1本で5000万~1億円分の製品を運ぶと考えるとだいたいあっている、という記述が「メイカーとスタートアップのための量産入門」小美濃芳喜著、オライリージャパン(良い本です。そのうち解説します)に書いてありました。全部がこの値段だとすると、コンテナ船1艘の積み荷は1兆円です。
昔の港湾労働者(沖仲仕 おきなかし)の仕事はコンテナの登場で1970年に激減しましたが、労働争議などを経て、日雇いだった労働者を転職までの数年間~一部は就業可能な老齢まで、仕事がなくても給料を払う制度にすることにより解決しました。basic income の最初の例かもしれません。
navvy 人夫
longshoreman 港湾労働者、沖仲士
hub 車軸、転じて、多くの地点をつなぐ中心、ハブ
investment 投資
harbor 港湾
port 港一般
volume 容積 かさ
https://www.globalpsa.com/iol/#CALISTA から
cargo 貨物
streamline 流線形、(動詞)流れるようにスムーズに運ぶ
hinterland 後背地
intermodal(一貫輸送) logistics(物流) corridor (回廊)
corridor コリダー 廊下、回廊、通路
日日雇用 daily employment
daily wages 一日ごとにもらう賃金