昨日紹介した、KAGRAの無振動冷却装置について調べました。
https://gwdoc.icrr.u-tokyo.ac.jp/DocDB/0056/P1605622/001/DanD.pdf (博士論文)
サファイヤの鏡に水ガラスでサファイヤの「耳」をつけ、インジウムで接着したサファイヤのワイヤーで吊っているようです。水ガラスはケイ酸ナトリウム水溶液。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9
冷却はヘリウム冷凍機です。「GM(Gifford MacMahon) 型」「スターリング(Stirling)型」「パルスチューブ(pulse tube)型」等いくつかありますが、どれも断熱膨張を繰り返し行って熱を奪うので、普通は「シュコンシュコン」という1Hz程度の周期的な音と振動があるはずです。最近、振動を抑えたタイプがあるので、調べてみると下記を見つけました(pdf)。KAGRA用に開発した住友重機の人の博士論文(高エネ研(総研大)で社会人博士)の抜粋のようです。冷凍機から純アルミニウムの撚線で振動的に独立した冷却ステージにつなぐという方法です。銅の撚線では硬くてダメで、純アルミニウムが良かったとのこと。小型のもので一台300万円くらいですが、それなりに儲けは出そうな製品です。思ったより効率が低く、10K程度の温度が欲しい時、数Wの冷却能力に対して1kWの桁の電力を消費します。これだけ長く研究されているのであまり改善の余地はないのでしょうが、暇なときに考えるネタにはなりそうですね。次はヘリウム枯渇(資源的には無い、と言っていますが、価格は上昇しています)に対応して水素冷凍機が出てくるかもしれませんね。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsj/46/7/46_7_400/_pdf
ヘリウム冷凍機一般については
https://note.com/yukishiomi/n/n3b3de9cde350
が無料公開されています。文章だけですが、調べる手がかりとしてはよくできています。
周期的振動 periodic vibration
断熱膨張 adiabatic expansion ア「ディ」アバティク
撚線(よりせん)strand wire, stranded wire ストランデッド; twisted wire
strandは、繊維を撚った(紡(つむ)いだ)糸のことを表すので、twistedよりも細い線をたくさん撚っているイメージがあります。”strand” はLDOCEでは名詞のみ、”stranded”は「動けない=stuck」としています。誤用されたものが定着したのかもしれません。
ヘリウム枯渇 Helium depletion デプ「りー」ション
儲け(もうけ) profit
stow ストウ しまい込む
turbulence 乱流、飛行機の乱気流、揺れ
altitude 高度
latitude 緯度
longitude 経度