LIGOは2つの直交する4kmの光路の長さの変化を10^-4Åの精度で測定できます。基本的には、光の干渉による強度変化としてモニターします。光としては、Nd系のレーザー1064nmの光を使います。10^-4Åは波長の10-^8倍なので、さすがに強度変化から光路長の変化を測定するのは無理です。どうやっているかというと、マイケルソン干渉計の光路中にファブリーペロー干渉計をいれて、光を光路内で300回往復させたものを干渉に使っています。したがって、光路は4kmではなく、その300倍の1200kmに相当します。これで3×10^-6の強度変化を測定することになりました。干渉により検出光が完全に弱めあったところ(よくできていて真っ暗と想定)から少しずつ強くなるところを測定するならば、これは不可能ではないと思われます。条件としては、干渉が完全に弱めあったところに毎回調整すること、完全に除震すること、空気の対流による鏡の動きを避けるために光路を超高真空の中に置くこと、など、曲芸のような設備が必要になります。
中身の雰囲気が下記動画でわかります。実際の装置は18分くらいから。
https://vimeo.com/88437726
除震については、下記
https://www.ligo.caltech.edu/MIT/page/vibration-isolation
真空については、下記。10000m^3(20x20x25m、8階建てビルですね)を10^-9torrに排気します。ターボポンプで排気しますが、ベーキングに30日かかるそうです。通常運転はイオンポンプのようです。
https://www.ligo.caltech.edu/MIT/page/vacuum
https://vimeo.com/87542169 (←見て損しました)
また、干渉計で1200kmも光が走ると減衰するので、レーザー光を強める必要がありますが、熱的な限界があります(1064nm200Wだそうです)。入射レーザー光を有効利用するため、干渉計の方に工夫をして、「光回収鏡」 opitical recycling mirrorというのをいれているようです。
seisimic 地震の 「スィ」ージミック
aka アーカ,エーケーエー (also known as) 別名、またの名を 例 defense against unwanted vibrations (aka noise)
precision 精度
passion 情熱
squeezed light スクィーズド光 スクィーズは「押しつぶす」。来週解説します。
pendulum 振り子
binoculars 双眼鏡
That blows me away, and it’s super exciting. それには圧倒される。
wrangler ラングラー =口論者、カウボーイ
the latter being potentially disastrous to LIGO’s mission. 後者はLIGOの使命を壊滅させる恐れがある。ディ「ザ」スタラス
日本では、鏡を低温に置いた3kmの干渉計 KAGRA が岐阜県神岡で昨年から稼働しています。
https://gwcenter.icrr.u-tokyo.ac.jp/