今週の世界の研究所は、重力波観測施設である LIGO (らイゴ、Laser Interferometer Gravitational-wave Observatory)です。技術的に面白い大ネタなので、2週間にわたって解説する予定です。 LIGOは、米国の北(ワシントン州)と南(ルイジアナ州)の2か所に設置された特殊なマイケルソン干渉計で、CaltechとMITによって運営されています。ブラックホール連星系の崩壊に伴う重力波の検出に成功した(2015)ため、2017年にCaltechのB.C.Barish(LIGOプロジェクト運営)、K.S. Thorne(一般相対論の理論家で何を探したらいいかを示した)、MITのR.Weiss(LIGOの基本原理を発明)の3人にノーベル物理学賞が与えられました。LIGOはマイケルソン干渉計の鏡の動きを測定する仕組みですが、感度は驚くべきもので、距離の相対変化として10^-21を測定できます。これは、地球と太陽の距離(1天文単位=1.5×10^11m)に対して、10^-10m=1Å(水素原子1個の大きさ)の変化に相当する(実際の装置では水素原子の1/10000の距離変化)、と解説されています。
https://en.wikipedia.org/wiki/LIGO
マイケルソン干渉計は、光を半透鏡(beam splitter)によって90度異なる2つの方向に分けそれぞれを遠くの鏡で反射させ、戻ってきたものをbeam splitterで一緒にして干渉させます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%B3%E5%B9%B2%E6%B8%89%E8%A8%88
1887年にマイケルソン・モーリー(Michelson-Morley)の実験で光の速度が方向によらない(地球の運動方向と関係ない)ことを示すのに使われました。これによって、電磁波の媒質として考えられていたエーテルの存在が否定されました。身近なところでは、マイケルソン干渉計はFTIRに用いられています。LIGOでは、1つの腕の長さは4㎞です。2015年に5年間かけて完成したLIGOの改造費用は$620M, 700億円くらいでしょうか。
observatory オブ「ザー」ヴァトリ 観測所、天文台
aether「イ」ーさ エーテル(昔 考えられた電磁波の媒体)luminiferous aether, etherとも。
ether 「イ」ーさ エーテル(化学)
amplitude 「ア」ンプりチュード 振幅
superposition principle 重ね合わせの原理
interferometer インターフェ「ロ」メタ 干渉計
space-time distortion 時空のゆがみ
birefringent バイリフ「リ」ンジェント 複屈折の
for decisive contribution to the LIGO detector and … LIGO検出器と…に対する決定的な貢献に対して
general relativity 一般相対論
Louisiana るイジ「ア」ナ テキサスの東隣の州
Washington 北西部の州(カナダ国境)シアトルがある
※アラレ(hail,ヘイる)が降ったりして寒いですが、元気出していきましょう!