今週でHoffmann & Schimidt “Old Wine New Flasks – Reflections on Science and Jewish Tradition” は終わりです。あとがきには、この本ができた経緯が書いてありました。
Hoffmann教授がイスラエルのBenGrion University の名誉博士号を授与されて記念講演をしたときに世話をした学長の秘書がもう一人の著者(Schimidt女史)で、第1章(Is nature natural?) の骨子(記念講演の内容紹介と考察)を新聞に書いたのがきっかけだそうです。ユダヤ人の歴史、宗教と化学の他、いろいろな時代の絵画や詩の話題も豊富に混じっていて刺激される本でした。372ページの本ですが、注が45ページもあり、一つ一つの主張の裏に多くの文献があることがわかります。注を書くだけでも相当骨が折れそうです。
わかりやすい学術書の条件として、紙も鉛筆も模型もなく寝転がって読めなければならない(群論の化学の応用本に関するコメント)、と書いてありました。これは同意しにくいです。
sequel 「スィー」クエる 続き
equanimity イクア「ニ」ミティ 心の平安(レベル22=11000語レベル)
inimitable イ「ニ」ミタブる まねできない(レベル17)
The tone of colour is inimitable. この色合いはまねできない
depilate 「デ」ピれイト 脱毛する
bearing chitinous teeth キチン質の歯を持っている 発音はchitinus 「カ」イトナス です。
注から、面白そうな文章を抜き出して訳してみました。ちょっと意訳していますが、参考までに受験答案から「翻訳」の方向に進んでみたつもりです。
After boring a neat hole (as small as 0.5 mm in diameter) in the other snail’s shell, the murex inserts its proboscis (プロ「バ」シス)and seems to inject a muscle relaxant into its prey, which the murex then consumes at leisure.
別の巻貝の殻にきれいな穴をあけた後、ホネガイは吻(ふん)を挿入して獲物に筋肉弛緩剤を注入するようである。そして暇なときに少しずつ食べるのだ。
“neat” ニート は日本語とずれた意味があるので注意です。きちんとした、巧妙な、整った、こぎれいな、混じり物がない(←お酒(「生(き)」)や化学物質)
Prigogine’s ideas are stimulating and thought-provoking. But they are easily overstretched, to give us what our minds desire, that order emerging out of chaos is natural.
プリコジンの(一連の)アイデアは刺激的で示唆(しさ)に富む。しかし、人間の心が求める方向に簡単に敷衍(ふえん)されて、混沌から秩序ができるのが自然なことに思えてしまう。
Most interesting in the talmudic argument is the development of a calculus of probabilities and statistical inference. A classic case is the problem of a liquid mixture of a forbidden substance with a permitted one.
タルムードの議論でとても面白いのは、確率の計算と統計的影響ができてくるところである。古典的な例としては禁止された物質と許された物質を液体として混ぜたときの問題がある。