DNAの変化を調べることにより、いつ種が分化したかを推測する手法があります。電気陰性度で有名なL.Pauling とE.Zuckerkandlが1962年に発見した「分子進化時計」を使っています。彼らはヘモグロビンのアミノ酸の変化の種による違いに系統性を見出しました。1980年代以降にDNAを直接調べることが可能になり、DNAのうち機能を持たない部分の変化速度が年あたりほぼ一定であることがわかりました。これを説明するのが1968年に遺伝研の木村資生博士から提出された「分子進化の中立説」です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Neutral_theory_of_molecular_evolution
https://www.brh.co.jp/research/formerlab/miyata/2005/post_000003.php
ミクロには、自然選択が働かない場合には、細胞分裂の際のDNAコピーエラーによって変異が蓄積するということで、分子(進化)時計の理論的根拠を与えています。DNA複製酵素は種によらず共通性が高いので、変異確率が年あたり(細胞分裂回数当たり)一定であることが説明できます。当初は自然選択説と対立するものとして大論争があったそうです。自然選択が働く場合は、変異確率は小さくなります。これによって淘汰圧を定量化できます。
molecular clock hypothesis 分子時計仮説
mutant allele 変異
natural selection 自然選択
postulate 説を提出する
deleterious デれ「テ」リアス 有害な
controversy 論争 コント「ロ」ヴァーシ
substitution 置換
stochastic 確率的な
coalescent theory 合祖理論(遺伝子の過去をたどっていくと一つの祖先に一致するのではないか?という理論)
coalesce 癒合する、合体する、合同する