Ruan Ji’s Poems and Essays(2):四海を渡る白鳥より自由な近所のスズメになりたい

金曜日の読書・阮籍の「詠懐詩」続きです。1800年前の文字は日本語に取り込まれていないものが多いことがわかり、漢字の入力が大変だな~と思っていましたが、webサイトがありました。中国語版の Wikisource です。https://zh.wikisource.org/wiki/Author:%E9%98%AE%E7%B1%8D
有名なものをまた一つ紹介します。
其十 
灼灼西隤日,餘光照我衣。 迴風吹四壁,寒鳥相因依。 周周尚銜羽,蛩蛩亦念飢。
如何當路子,磬折忘所歸? 豈為夸譽名,憔悴使心悲。 寧與燕雀翔,不隨黃鵠飛。 黃鵠遊四海,中路將安歸?
隤日は日没のこと。黃鵠は黄色い白鳥で、死者をよみがえらせる力があるという伝説があるそうです。
蛩蛩はコオロギ、周周は英訳を見ると家禽のこと?、銜羽は羽をくわえる
日本語訳と解説を見つけました。「磬折」は珍しい用法のようです。31~40文字目は「要職についている人はお辞儀をしてへりくだるばかりで本来の帰るところを忘れる」
https://yanagawa2019.sakura.ne.jp/post_cpost_hibizakki/%E3%81%B2%E3%81%9D%E3%82%84%E3%81%8B%E3%81%AA%E8%A6%AA%E8%BF%91%E6%84%9F/

Kindle本の訳は下記です。順番が入れ替わっているようで、11となっています。素直な訳で意味が伝わるので、漢詩と英語は構造が似ている気がします。
The blazing sun sets in the west,
Its remaining light shines on my robe.
The swirling wind blows through four walls,
Cold birds nestle close together.
The circling fowl still clutch their feathers,
The crickets too lament their hunger.
How is that those in power,
Bow and break, forgetting their home?
Not for fame or praise,
But sorrowful and frail is my heart.
Better to soar with sparrows and wallows,
Than to follow the lofty swan.
The swan may roam across four seas,
But where shall it rest midway?

blazing sun 灼熱の太陽
lament 嘆く
fowl ファウる 家禽
soar 急上昇する、飛ぶ、翔ける
lofty 高尚な、高慢な ここでは後者のニュアンスか。
roam は携帯のローミングで使いますね。

※渡り鳥の白鳥と一緒に遠くを休みなく旅するよりも、スズメやツバメと一緒に自由に近所の空を翔けていたい、という、いかにも「竹林の七賢」らしい主張だと思います。歴史のめぐりあわせで閉塞した社会が時々できるのは仕方ないと思いますが、その時代に生きている知的存在は鬱屈します。現代は軽くその傾向が出てきていると思っており、阮籍の時代の思索に珍しいもの、参考になるものがあるかどうか、興味があります。

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