金曜日の読書”No B.S. Price Strategy:…”は第16章 The Deadly Trap of Bad Economics です。収益性が悪いビジネスを広告で何とかすることはできない、と広告専門のコンサルタントである著者が最初に宣言します。たとえばWalmartのような巨大チェーンは仕入れや流通の効率化によって同じものでも安く売ることができます。小規模店舗はそれにまともにぶつかるのではなく、共存しその陰で繁栄することができる、としてその戦略の一部を解説しています。また、この部分の詳細は・・・と言って著者の別の本を紹介しています。いろいろ書いてありますが、いくつかのポイントを抜粋しましょう。
・売り上げを追うのではなく、利益がもっとも大きくなる価格を試行錯誤または経験によって見つけるべし
・それでも望む利益に達しない場合は、いろいろな方法でそのギャップを埋める。たとえば、長寿を目指す健康法の本を売る場合、体操のDVDを別料金で付録にする、サプリや運動器具のメーカーの広告となる記述を入れて(ステルスマーケティング stealth marketing と自分で言っています)、成約につながったら1件当たりその何割かをもらえる契約にしておく等
・売上が拡大してビジネスが成長しているときが最も失敗につながりやすい
数字をきちんと計算することが重要だと言っています。わかりやすい例として、100ドルの商品があるとして、原価が50ドル、配送に10ドル、広告に20ドル、固定費に16ドルかかるとすると利益は4ドルです。もし価格を110ドルにできて、原価が5ドル、配送に1ドル余分にかかったとすると利益は10-5-1=4ドル増えて8ドルと2倍になると言っています。当たり前ですが、10%の値上げで100%の利益増ということです。現在、日本政府は賃上げ主導での経済成長を目指しているようですが、いろいろな要因でコストが上昇している分を躊躇なく値上げに結び付ける名分として使えるので、いまの局面では悪くないのかもしれません。消費→給料になるので、引退した世代から現役世代への富の移転が促される効果もあるでしょう。
“If you sell at just $10 more, but incur very minor cost increases—say $5.00 in cost of goods, $1.00 in fulfillment, and no increase in the cost of making the sale or overhead, your profit jumps to $8.00. The 10% price increase created a 100% profit improvement. “
incur 良くないことを招く、行いの結果を負担する I incurred my wife’s anger by arriving home late. 私は遅く帰宅して妻の怒りを買った
※ fulfillment は、特にネット販売で注文を受けてから配送にかかるコストを指すそうです。ここではそれとは違いそうですが、仮に「配送費」と訳してみました。
“In his seminars, Larry spends a lot of time on many examples of this, because it is such a scary and difficult concept for salespeople and business owners to wrap their heads around. You CAN afford to lose a shockingly, mind-bending amount of volume and still make as much net money from minor price increases that drive away a quantity of customers.”
scary スケアリ 恐ろしい、怖い
wrap their heads around 彼らが一生懸命理解しようとしている wrap one’s head around = to understand or accept something, especially something complex, challenging, or unfamiliar 複雑なこと、難しいこと、慣れないこと、を理解したり受け入れたりする
mind-bending 心が折れそうな ※同じ言い回しがあるのですね