世界の研究所:米国MIT Operations Research Center と秘書問題

今週はOperations Researchという分野の話をしましょう。日本語では「実験計画法」と訳すと思っていましたが、「実験」よりも広い適用範囲を持ちます。最近は日本語はばらついていて「作戦計画法」「経営科学」「問題解決学」のほか、英語またはその略語”OR”をそのまま使うことが多いようです。歴史的には、以前紹介した米国Rand研究所などを中心に研究された分野で、研究分野としては成熟しています(枯れている、と言ったら怒られるでしょうね)。
https://www.sekaiken.com/?p=2061

教育機関としては米国MITのOperations Research Centerが有名です。ここは大学院生を修士8-12人博士20-25程度受け入れるようですが、応募者300人以上とのことなので倍率は10倍という難関です。教員は約60人ということで大所帯です。
https://orc.mit.edu/

入試がどのように行われているか気になりますね。下記(英語)のように成績証明書+推薦文+志望動機文で選考しているそうです。TOEFL100点(満点120点)が必要というのはかなり高いと思います。付録の資料として自分の論文など業績を追加できるそうなので、それが効くこともあると思います。学生にはresearch assistantとして給料がでるそうです。
さて、この話を取り上げるのは、週末に読んだ本で「秘書問題」が紹介されていたためです。これは、wikipediaから引用すると
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%98%E6%9B%B8%E5%95%8F%E9%A1%8C
1.秘書を1人雇いたいとする。
2.n人が応募してきている。 n という人数は既知である。
3.応募者には順位が付けられ、複数の応募者が同じ順位になることはない(1位からn位まで重複無く順位付けできる)。
4.無作為な順序で1人ずつ面接を行う。次に誰を面接するかは常に同じ確率である。
5.毎回の面接後、その応募者を採用するか否かを即座に決定する。
6.その応募者を採用するか否かは、それまで面接した応募者の相対的順位にのみ基づいて決定する。
7.不採用にした応募者を後から採用することはできない。
8.このような状況で、最良の応募者を選択することが問題の目的である。
という問題です。結婚や就活でも使える考え方だと思います(結婚の場合は nが未知ですが)。
答は、n/e (e=2.71828…)人は採用しないで評価のみを行い、それ以降に、それを超える人が現れたら採用せよ、との処方箋です。証明は上記
wikipediaを参照してください。この戦略で最良の人を採用する確率は1/e=37%で、それが最大値です。さて、結婚や就活でこの戦略が使えるかどうか。実験心理学によると、人はもっと早く決めてしまうそうです。
このような問題への解答を作る分野がOperations Researchで、いわゆるゲーム理論も含みます。最近はAIの利用でまた変化があるかもしれません。

英語は https://orc.mit.edu/admissions/faq/ から。
Q. What are the ORC application requirements for the PhD and SM programs?
A. Applications should include the following:
standard MIT application form and fee ($90-, unless the fee is waived by the Office of Graduate Education – the ORC is not able to waive this fee)
fee 受験料 $90は安いですね?!
be waived ウェイヴド 免除される
Statement of Objectives (NOTE: There are no guidelines or limits for the Statement of Objectives, however we generally recommend that applicants keep it to around one page.)
Statement of Objectives 志望動機
transcripts 成績証明書
three letters of recommendation 推薦書3通
International English Language Testing System (IELTS) and/or Test of English as a Foreign Language (TOEFL) test scores (if international). TOEFL scores must be from within the past two years.

※ https://orc.mit.edu/impact/moocs/ に2つ授業が公開されています。

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