合金+大気圧CVDによるダイヤモンド合成の論文

月曜日に紹介したダイヤモンドが1気圧でできるという論文をちゃんと読みました。
Gaを主成分、Fe,Coを含みSiを0.5%程度含む液体金属に1気圧のメタンと水素の混合ガスを1000℃付近で吹き付けると、ダイヤモンドが表面より少し下でできるという実験事実を報告しています。
Gaだけではあまり炭素を溶かさず、メタンを吹き付けるとグラファイトができます。Feなどを入れると炭素がよく溶けるようになります。Siはダイヤモンド中にドープされるようです。特有の蛍光が出ています。
Siがないとグラファイトになってしまうことと、Siが取り込まれていることから、sp3を好むSiの存在がグラファイトでなく準安定なダイヤモンドを作るのに役立っているのだ、という結論です。
査読者とのやり取りもwebで公開されています。査読者は最初から好意的ですね。計算を足してOKとなったようです。査読者とのやり取りの例として使えそうですね。(pdf注意)
https://static-content.springer.com/esm/art%3A10.1038%2Fs41586-024-07339-7/MediaObjects/41586_2024_7339_MOESM2_ESM.pdf
計算はDFT-AIMDという第一原理計算によるもので、8ピコ秒だけなのですが、100個以上の原子の計算を10000回くらいやっているので。計算機パワーを相当使っています(スパコンの長時間運転が必要でしょう)。
動画もwebに載っていますが、ここからダイヤモンドができる仕組みがわかるか、というと疑問があります。下記の末尾のSupplementary information の動画ファイルです。
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07339-7
この合成法だと設備がほとんどいらないのがいいですね。できているのはまだ100μmサイズのダイヤモンドですが、マネする人がたくさん出てくるでしょう。どこまでダイヤモンド結晶を大きくできるか、期待しましょう。
論文には書いてありませんが、安定なsp2炭素を除去するメカニズムがやはり効いていると思います。それが何か、興味があります。合金に溶けた水素がエッチングする可能性を私は考えます。
証明は、合金にグラファイトを入れて水素を吹き付けてエッチングされる様子を測定するのがいいかもしれません。第一原理計算も有効でしょう。そのうち誰かがやるでしょう。

英語は、「そのうち」の周辺です。
(DeepL) Someone will do it eventually. eventually は「最終的には」 = after a long time, after a lot of things have happened. (LDOCE)
finally 最後には
in the course of time いつか、そのうち
soon or later 遅かれ早かれ
ultimately 「ア」るティメットり 究極には = finally, after everything else has been done or considered
one day いつか
someday いつか
afterwards その後、後になって
hereafter = 1. from now on, from this time, 2. after death 例 a life hereafter 死後の世界  3. in a later part of an official document 公的書類で「以下〇〇と呼ぶなど」の以下
 ※「論文の書き方」の教科書には、hereafterは不吉な語感があるので選んで使うこと、と書いてあります。

※ 明日5/3と来週月曜日5/6は「今日の英語」お休みします。

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