SiCの界面、宝石としてのSiC=モアッサナイト

4H-SiC (4Hは結晶多型の名前)のパワー半導体としての開発が進んでいます。高温で使えて放熱器が小さくてよい、高電圧を小型トランジスタでon/offできるなどの特徴があり、GaN, Ga2O3のどれが市場を制するかは、性能とコストで決まる段階になるでしょう。開発に成功しても使われなかったらその研究者は報われないか、というと、社会的には risk hedge としての役割があるので大切な役割だと思います。個人や会社の評価については、運ということになるでしょうが、後続の人がやる気を失わないように、開発成功の段階で報わないといけないと思います。
開発の歴史は下記pdf が面白いです(エラーが出るので注意)
http://www.takeda-foundation.jp/reports/pdf/Fant0307.pdf
そこにあるように、今は{0 3 -3 8}という指数を持つ結晶面がよく使われるようですが(注1)、その理由は酸化物界面のトラップ密度が少ないため、ということで、原子レベルの話は細かすぎるのでここでは触れません。酸化膜形成プロセスも酸素やプラズマだけではなく、金属を触媒にするなど、いろいろあるようです。酸化膜は蒸着でもいいのかもしれませんが、酸素との反応だとCをCO2として除去しながらSiO2を形成していくので、原子レベルの界面構造を制御して性能を出すのはたいへんそうで、いままさに研究の対象です。

SiCといえば、モアッサナイトという宝石があります。これはフッ素の単離に成功してノーベル賞をもらったHenri Moissan(1852-1907)が隕石から見つけたSiC単結晶にちなんでいます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%82%A2%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%B3
現在モアッサナイトは市販されています。ダイヤモンドに比べて安くてびっくりです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07WDQZNXS

結晶多型は6Hが昔で今は4Hのようです(NEO Moissanite)。半導体用からの派生かもしれないですね。

https://www.tresorjewelers.com/squareneomoissanite

(注1)六方晶の結晶の面指数は、六角形の面内に3つ(合計がゼロになるように選ぶ)、それに垂直な方向に1つの4つの数字で表します。ミラー・ブラべ(Miller-Bravais)指数またはブラべ指数と言います。https://www.jsme.or.jp/jsme-medwiki/07:3000010

英語は neo の類義語から。
neo 新しい を意味する接頭語novel 新しい
nova 新星
supernova 超新星
brand-new ブ「ラ」ンニュー 新品の、ぴかぴかの
dissimilar ディ「スィ」ミらー 似ていない
inexperienced 経験したことのない
modernistic モダー「ニ」スティック 現代的な
distinct ディス「ティ」ンクト 別個の、他と違う、はっきりした
distinct difference はっきりした違い
unprecedented アンプレ「シ」デンテッド 前例のない、前人未到の

risk hedge リスク回避
hedgehog ハリネズミ 

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