SiCはワイドギャップ半導体と呼ばれます。この「ギャップ」はバンドギャップ(band gap)の略で、電子の詰まった価電子帯(valence band)と電子が入っていない伝導帯(conduction band)のエネルギー差のことです。純粋な半導体は電気抵抗が高いのですが、異種元素を微量混ぜること(ドーピング)によって、価電子帯から電子を微量抜いたり(正孔が生成する)、伝導帯に微量の電子を入れたりすることができます。このドーピングで作られた正孔や電子は、外部からの電場や電流によって数(濃度)を簡単に変えることができるので、電気信号を制御するデバイス(半導体素子)を構成できます。これが一般論なのですが、温度が高くなると、バンドギャップを超えて価電子帯から伝導帯に電子が熱励起され、正孔と電子が生成してしまいます。その濃度が、ドーピングによって生じる外部から電気的に制御できる電荷濃度に近くなると、半導体は回路設計の通りに動作しなくなってしまいます。熱で生じる電荷濃度はバンドギャップを活性化エネルギーとするアレニウス則に従います。よく使われる半導体Siはバンドギャップ1.1eVで、正常に動作する温度の上限は150℃程度です。バンドギャップが大きいと、より高温でも正常動作します。放熱の効率は室温との温度差に比例するので(ニュートン則)、ワイドギャップ半導体では放熱器を小さくすることができるため、パワー半導体として有用です。特に、電気自動車で多用されると予想されています。昨日のWolfspeed社はSiC(バンドギャップ3.3eV)に賭けていますが、日本勢はGaN(バンドギャップ3.4eV)とSiCを両方追っている感じです。最近は、Ga2O3(バンドギャップ4.7-4.9eV)やダイヤモンド(バンドギャップ5.5eV)のパワー半導体応用研究のニュースも見るようになってきました。素材の研究は日本の大学が先行していましたが、産業化は米国が先行している感じです。日本で電子工学科の人気が一時期なかったのが影響しているかもしれません。もしくは大学の設備不足か、ベンチャーが作りにくかったためか。
バンドギャップが大きい→結合性軌道と反結合性軌道のエネルギー差が大きい→化学結合が強い→堅い材料。なので、半導体切断刃物を売っている会社が紹介ページを作っています。
https://technology.disco.co.jp/jp/material/galliumoxide/
(残念ですが、比誘電率 の値が怪しいかもしれません:Siは16のはず。他も大丈夫でしょうか?)
短い動画がありました。米国のエネルギー省の宣伝です。
https://www.youtube.com/watch?v=V7w07-zYIJ4
英語は wide とbroadから ほぼ同じ意味だが日常ではwideの方をよく使う、とのこと。
wide の名詞は width 「ウィ」ドす 「幅」「広さ」
broad の名詞は breadth ブ「レ」ドす 「幅」「広さ」
broadはよく使う名詞が決まっているようです。下記はLDOCEから
a broad range/spectrum
a broad category
a broad area/field
a broad cross-section of people = a varied group that is typical of a larger varied group 幅広い人々
a broad base
a broad alliance/coalition 幅広い同盟
a broad curriculum カ「リ」キュらム (アクセント注意)
have a broad appeal 幅広い人々に訴える